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第7回ネーム大賞

2次審査員作品講評

石原まこちん・テキスト講評

※講評はいただいた作品のみとなっております。何卒ご了承ください。

 

E-073 ムジュンさん 24P 黒谷知也

UMA好きにはたまらないネタでした。形状が非常に不気味で良いですね。

あと祭りになっちゃうとこも昔話的で面白かったです

 

D-060 さんみいったい 36P リコシェ号

目的がはっきりしていて読みやすかった。です非常にバカバカしくて好きです。途中頭に入ってこなかったんですかw。勢いで最後までよんじゃいました。

 

E-017 春日井くんの右手     44P     まつも桃世

すごく好きです。古泉イズムを感じましたが、古泉先生の教室の生徒さんでしょうか? セリフ量もちょうど良くコマのメリハリも良く読みやすかったです。ラストもいーですね!

 

A-074 津田     11P     戸川賢二

クラスにいたあの子も実はこんな感じのことを、、とか妄想しながら読みました キモくて暗くて好きです。

 

C-004 まおふ〜大魔王のOFF〜   57P     水野まどか

絵が好きです。ペン入れしてもこの感じが失われなければ最高ですね。

四天王の下り面白かったです。単行本欲しいです。

 

B-052 あっ!!タグチ先輩 ティース!!!      36P     上木けんすけ

なんとなく話題の少女漫画【すいませんホントタイトルでてこないんですが】とかさなったんですが、読みやすかったです。絵も綺麗で、他の作品を読みたいと思いました。

 

E-022 武勇の王と呪い姫     67P   おのた

人気が出そうな絵と内容ですね、書き込みが毎コマすごいので。
私は途中インターバルを置きましたが少年誌読者なら大丈夫でしょう^ ^

 

A-034 MY SHRED HERO      80P     MUSASHI

すごく絵が上手いですね!
スケートで最後まで通して欲しかったです。
「アメリカの最大の発明は原爆とスケートボード」ってくらいですので、スケートボードの凄さが見たかったです。あと効果音が普通すぎたんで、もっとスケート独自の音を聴きたかったです。 

 

A-008 国境線上の蜂      16P     渡辺栄祐

うわっ重い内容か!とおもったらひっくり返されたんで最後まで楽しく読みました。
コレで戦争終わったというオチだったら、選びませんでした^ ^

 

D-065 ムカつく奴ら      41P     インカ帝国

すごく好きです。
古泉イズムを感じましたが、古泉先生の教室の生徒さんでしょうか?
セリフ量もちょうど良くコマのメリハリも良く読みやすかったです。ラストもいーですね!

 

 

尾関高文・テキスト講評

A-060 異郷奴 66P 鶴川かきお
確かな画力の中に物悲しくも読者の心をスカッとさせてくれる展開で、あっという間に読み終えてしまいました。登場人物が全員悲しさを背負っている、というのも物語の暗さを際立たせ引き込まれた要因だと思います。とてもクオリティの高い作品を読ませて頂いた気持ちです。

最後の能力で街が壊れゆくシーンなど描き込んだ絵でぜひ見てみたいものです。


 
C-025 スキマ×メカクシ 50P うしろだ
素晴らしい作品だと思います!

アイデアとしても今まで見たことなく、最後に新たな能力の女の子の種明かしで今後の物語がなんとしても読みたくなってしまいました。

少年誌で人気を博しそうですね!リワインドの能力だけすこし制限がある、などにしても面白いのかなとおもいました。(隙間の間隔でより過去が見えるけど見え方が小さいみたいな)



E-070 メルチルがかほる!! 24P 深爪ゆとり
読んでいて楽しくなる作品でした!主人公の可愛さも広く好感が持てそうな感じがします。

マグマン星人が倒れた時は笑ってしまいました。今後も「意外な地球のものが臭いを抑える」とか完璧に臭いを抑えられるものが見つかったりすると面白そうですね。

この人の母星もかなり気になりますし。今後が楽しみです。



E-017 春日井くんの右手 44P まつも桃世
タテマエを右手で表す事が構成的にも非常にうまくはまっていて楽しく拝見させて頂けました。

何より春日井くんのキャラが見た目も含め非常に魅力的でした。すごい好きです。

このくらいの年代に直面するモヤモヤを見事に吹き飛ばしてくれる素晴らしい作品だなと思いました!



D-006 トキ 41P 伊原達矢
当時の助産師さん達のドキュメンタリー作品として読んだ後に涙がでました。(自分自身立会い出産などをしたせいかもしれませんが)

こういった方に支えられて今の皆があるのだということをしっかりと思い出させる趣深い作品でした。

こういう作品が全国の産婦人科に置かれることを願います。



B-063 否定ちゃんと肯定くん 35P 枝谷
ゲイの男子学生のキャラが非常に明るく好感が持てました。

マイノリティとしての2つの選択が、2人の気持ちとともに読んでいるこちらにしっかりと入ってくる 感じがしました。(物語の流れがとても良かったからというのもあると思います)

女の子もとても可愛く、こういった作品としては前向きに明るく読む事がで きました。


 
C-050 まごころ切符 49P momo
読んでいてとてもほっこりとなる作品でした。

母親に対する微妙な子供達の気持ちが痛いほどわかり切符を買いに行くシーンは深く心に刺さりました。(子供がいるとこの子供達と置き換えて考えてしまいより泣きそうになりました)始まりとラストも良いですね。最初から最後まで心温まりました。



C-004 まおふ〜大魔王のOFF〜 57P 水野まどか
魔王がかわいい!!とにかく魅力的な魔王でした。

もっともっと魔王の女の面を見たかったので、恋をするシーンや女性としての悩み的なシーンも見たかったで す。(独断と偏見で申し訳ありません)勇者もゆくゆくはしっかりと魔王が好きになってしまうほどの勇者などでてきて恋に落ちてほしいものです。(すみません全て僕の願望で)



A-034 MY SHRED HERO 80P MUSASHI
この方の画力だからあの疾走感が描けたのだと思うくらい、スピード感・迫力が漫画全体から伝わってきました。主人公のスケボーにかける想いがもう少しあって も良いのかなとも思います。(スノボへの転身がけっこう早かったので)しかし構成や構図などはとても見やすく、すごい技術を感じました。

この方の漫画でいろいろな疾走感のある絵を見てみたいです。


 
C-060 生活カタログ 26P 植木まみすけ

女の子がデザインの能力に長けている、という部分に非常に魅力を感じました。

「ただ居候する」だけだと既存のお話とダブる部分もあるのかなとも思ったのですが、この部分で他のものにはない新しい流れが見えそうな気がします。

こちらを絡めたお話などもっと見てたいなと思いました。

 

古泉智浩・テキスト講評

『部屋を貸す』黒谷知也
簡単には言い表せない事をどうにか表現しようとする、伝えようとする試みにすごく感動しました。
100枚を超えるボリュームにたじろいだのですが、引きこまれて最後まで読みました。日常からそれほど踏み外すことのないどこにでもありそう な話に対してのアプローチの仕方に大変なオリジナリティとセンスを感じます。素晴らしかったです。今後もこういった取り組みはぜひ続けてください。この世 界にはいろいろな考えで生きていろいろな感じ方をしている人がいて、みんなバラバラなのであるけど、でもお互い理解をすることは大切であるという、とても 当たり前の事なのですが改めて感じさせられました。
今回のエントリー作品で1番です。


『春日井くんの右手』まつも桃世
きれいごとだけでない恋の光と影を誠実に描いていて素晴らしかったです。
可愛らしい絵ですが、生々しくえぐいところまで描いています。主人公の内面の成長 も清々しかったです。この作品が救いになる読者がいると思います。この内面の掘り下げ方でセックスを描いたものを読んでみたいです。


『ムカつく奴ら』インカ帝国
主人公が自分と向き合って行動し、変わっていくところが自然に描かれていて、とても面白かったです。行動した後の意外な感想もリアルですごくよかったです。勇気を真剣に描いていて、胸が熱くなりました。


『僕にとって君は猫』河内愛里
自閉症の女の子を猫扱いするとは、コンプライアンスを気にする今時の風潮で、勇敢な表現でドキドキします。でも実際そう思って接する人がいても不思議はあ りません。リアルな接し方であるとも思います。女の子が死んでしまった時はすごくショックを受けました。その直前の主人公が見る夢があまりに切なくて胸が 苦しくなりました。


『SFうさぎとかめ』銛 夕杞
楽しいうさぎあるあると、シリアスで重厚なテーマが違和感なく溶け合っている見事な構成が素晴らしい。アクションシーンもかっこよかったです。


『トキ』伊原達矢
なるほど、そうだったのかととても勉強になりましたが、前半の会話による産婆の歴史の説明をドラマに盛り込んで描くべきではなかったのかと思いました。そ れはそれで余計に長くなってしまうし、難しいとは思うのですが、会話だけで乗り切るというのも乱暴で、そこで嫌になってしまう読者もいると思います。クラ イマックスの出産シーンは引きこまれ、感動しました。


『静寂の音』眞蔵 修平
簡単に割り切れない問題に向き合っていて、自分だったらどうするだろう、何が正しいのだろうと考えてしまいました。この作品で主人公はこの選択をしたということだけが描かれていて、それを押しつけない表現もよかったです。


『異郷奴』鶴川かきお
クライマックスの怒りの爆発ぶりが大変なカタルシスでした。面白かったです。


『国境線上の蜂』渡辺栄祐
くだらないながらも、くだらないと言い捨てさせないところがいいですね。


『メキシコとアミーゴ!』作:小林マコ 絵:阿久津圭
楽しかったです。メキシコは恐ろしいイメージでしたが、メキシコに行ってみたくなりました。
 

武富健治・テキスト講評

総合講評
今回、基本的な能力、総合力が比較的高い作品が多く、ひどすぎる作品が少なかったです。レベルが上がっていますかね。逆に文句なし!という作品の数も少な く、いつも合格ラインを8点以上として点数をつけていっているのですが、かなりの作品が8点になるという異常事態で、10作に絞るのが大変でした。

9~10点の作品が4作あったので、13作ある8点の作品を6作品に絞らねばならない…。
最終的には、僕個人の趣味で好きなもの、極端な欠点の少なさ、それから将来の伸びしろ、このあたりで判断しました。
漫画の技術が高い割に、読者がこう読み違えないだろうか、という気遣いをクリアしている作品が少なかったです。麦踏みされずにすくすく育ってきた感じを多 くの作品に感じました。壁に当たり、長期戦でいたぶられると、摩耗してしまいそうな危うさを感じるということです。何人かの講評にも直接描きましたが、地 味で面倒な部分の技術の研鑽や、作品を冷静に判断する理性的な能力の向上、こうしたことでつぶれてしまう感性や才能、情熱は、それまでのものだと思います ので、みなさんガンガン漫画の血の特訓を重ねつつ、人と交わって(セックスじゃないよ!)眼や精神、心も磨いて下さい。
あ、でもぼくに低い点をつけられて、こき下ろされた方…! 他の方にも同様に指摘された方は気にしてもらいたいですが、他の方に広く評価されているのであれば、無視したり、逆に僕の評価をけなしていいですよ! 


今回も、刺激を受けました。
どの口でえらそうに言うか!と言われないよう、僕も作品、実人生ともども頑張らねば!! 
まあ、漫画家は、面白い漫画を描き続 けられれば、実人生はどうでもいいんですが、けっこう実人生の問題をほっとくと、せっかくバリバリ漫画を描きたい時期に、作品創作の邪魔をするようになっ てくるんですよ。
そういう負の圧力がばねになる人であれば、実人生を放っておいたり、わざと人生を荒らすのも手ですが…。
いつも書いてますが、お互い頑張りましょう!
 
 

A008 国境線上の蜂 渡辺栄祐  8点
まずは、何と言っても漫画(ネーム)としてのレベルが高いです。コマ割り、各コマの中の構図…。プロですかね。
そういう手練れのプロが、片手間にちょっとした思い付きで軽く1本描いてみた、というような余裕感が良くも悪くも満載でした。


A034 MY SHRED HERO  MUSASHI  9点
ところどころに、何がどうなっているのかわかりにくい構図やコマ割りがありますが、全体的にはやはりうまいです。後半はいいのですが、前半、数ページ単位で のメリハリがないので少し退屈しました。各ページや見開きでのバランスはいいのですが、同じような感じでロング、アップ、大ゴマ小ゴマがバランスよく配置 され過ぎるのが続く感じがするということです。テンポも、つめつめで、ピタッと目が止まるようなシーンが前半にももう少しあってもよい気がしました。これ は、前半地味にして後半ガツンと行く、という演出かもしれませんが、後半に進むまではそれが読者にはわからないので、初読みの人の心をもう少し想定して演 出するといいと思います。初読みの人を想定していない感じは、コマ割りだけではなく、各コマの中の情報の入れ方についても感じます。
デビュー用読み切りとしては既に80ページと長すぎるので、まずいなと思ってつめこんでいるのかもしれませんが、(後半にページを割きたいという気持ちも ありますかね?)とにかく新人の場合、読者は不信から入って読むので、冒頭から本編に入っていくあたりこそ、じっくり間をとって心をひきつける必要がある と思います。ここまで長いなら、思い切って前半をあと4ページくらい増やして丁寧にやってもいいんじゃないかと。それでだいぶ変わると思います。
あと、デビュー作ということで、キャラ設定から展開まで、王道で勝負する気持ちはなかなかいいと思います。ただそれが、今ある椅子をとるだけが目的の優等 生的な作品にも映ります。何か一つでもいいので、「それっぽい」キャラ設定、展開、そういう感じがしない異質なもの新鮮なものを突っ込んでみると、大型新 人誕生、という感じになると思います。
この人はプロになる人だと思うので、厳しめに書きました。

でもなんやかんやレベルは高いので、9点です。

 

A043 夏の続き 一〇四六  9点
なんか今回はやたらうまい人が多いな…(汗)。 こういう話が好みということもあり、絵柄も含め普通に読者として楽しく読ませて頂きました。完成させたものが誌面で読みたいです。
問題点だけ書きますね。冒頭の「現在」シーンに、主人公のアップがないし、芝居として大人ならではのしぐさなども見当たらないので、絵として「大人」とい う感じが記憶に残りません。なので、回想シーンが終わって現在シーンに戻った時に、あれ、どのくらい時間が経ったんだっけ?と迷ってしまい、「時がたった んだなあ」というしみじみ感に浸れませんでした。

確かに読み返してみると、大学生だというのがわかるのですが、読者ってけっこういい加減に読んでるものですので、しつこいくらい演出した方がいいです。
この作品の場合は「時が経った(けど変わらないものがある)」というのが作品の感動のキモなのですから、少年時代と大人になってからのギャップ感はもっと出していいんじゃないでしょうか。

回想シーンの冒頭でも、漫画を寝転んで読んでる主人公、一コマくらい大きく入れた方がいいように思いました。9点です。

 

A044 ヘブンズインターネット まとめろ  8点

う~ん、なんか習作っぽい感じになっちゃってませんかね。

もうちょっと作品として体裁を整えて(もちろんパワーは落とさず、むしろ整えることによって強化されるようなそういうやり方で)しっかり準備してから提出した方がよかった気がします。
最初からネーム派ですか?プロットからネーム派? 最初からネーム派でしたら、2度目のネームが必要な気がします。

それなりには面白いし、主人公の気持ちもわからないではないですが、もう一歩です。
ダメな友達の愚痴話と、いいことあった話に付き合わされている感じです。
もうちょっと描けるはずです。頑張ってください。


A060 異郷奴 鶴川かきお  7点
これまたふつうにプロみたいにうまいですね。

冒頭に、床に寝ている子どもと、たんすの上まで見えているような引きのコマが一つあれば、もっと感覚的に(主人公のセリフがなくとも)「あ、この子どうやってでんでんだいこ取ったんだろう?」と読者が思えると思います。こういうところは大切だと思います。
あと、そのあと何十年(十数年?)か経った、というのもぱっとよくわからず、単に翌日になったように読んでしまったので、一瞬、祖父と若い父親と赤ちゃん の3人家族の話かと思ってしまいました。セリフで名前を読んでいるのでわかるだろうと思うかもしれませんが、初読みの読者なんぞは、作品にのめり込むまで は、出てくる名前などは読みながら次第に覚えていくくらいのゆるい認識で読んでいるので、それだけだとわかりにくい(説明不足)です。
六之助が、とっつあんの実の子でないというのはあとでわかりますが、それまでの間、「この二人、実の親子に見えないなあ、芝居が下手だなあ」という意識で 読み進めてしまいました。振り返ってみれば、逆に「実の子ではない」ということをセリフなしの芝居で表現していたことがわかるのですが、それまでの間誤解 したまま読み進めてしまうというのは印象として不利です。非常に難しいバランスではありますが、もう少しだけネタバレ覚悟で、「ああこの話は、実の子では ない男の話なんだな」とわかるような演出をしておいた方がいいように思います。
六之助というネーミングも、よくわかりません。ふつうは六男坊につける名前ですよね。上の5人がどうなったかを冒頭で触れておかないと、世界観になかなか入っていけないです。
アップ少な目、コマ割りや構図も過剰さを抑えた渋い作風なこと自体は好感が持てますが、それゆえに説明(演出)不足になってしまっているのは残念です。控 えめな演出で勝負するというのは、その抑えた演出でも説明(演出)出来る実力があって初めて許されることですので、そのあたりの厳しさは認識しておくべき かと思います。

後半は、正直あまり面白くありませんでした。これも細かい演出が良くないからかもしれません。
時間はかかるかもしれませんが、精進したらいい漫画家さんになると思いますので、応援したいです。

 

A074 津田  戸川賢二  7点
カラー写真を利用した面白い手法と、シュールな内容がマッチしていて、なかなかいい感じです。

ぼくも、たくさんのパンジーが植わっている花壇を見ると、バカ にしたようにじとっと見られているように時々感じるので、共感もあります。若い(20歳くらいまで)時読んだらすごく気に入ったかも。
こういうのを単行本1冊分くらいささっと描けるのであれば需要があると思います。

今回他の方のレベルが高すぎるので、7点です。


A077 ダリイズム es  7点
内容はとても面白かったです。

ただ、漫画家としての実力(作画力)がこのネームだとさっぱりわからない(苦笑)

僕 自身の反省でもあるのですが、完成原稿がどういう感じかわかっている担当編集に出すネームであればこのくらいラフでも全く問題ないのですが、初めての人に 見せる場合、もうちょっとだけ(前半数ページだけでも)完成原稿にした時の程度がわかるような絵でしっかり描いた方がいいです。描ける人が、ネームなので ラフにやっている、ように見えないところが難点です。
雑というよりもへたくそに見えてしまうので、すみません、今回は7点で。

あと、これは少年ジャンプあたりに投稿予定なのでしょうかね。奇数ページで終わらねばならない条件があったのでしょうか。最後のコマは、44ページまるまる1ページ使って堂々と締めくくってもいい内容でした。

 

B012 カレー兄弟 えりつぃん  6点

勢いがあって、ネタも割とひとつひとつ面白いので、それなりに楽しく読めました。たまたま雑誌に載ってたら読んじゃうかも。ただ、これがみっちり詰まった単行本を、お金を出してわざわざ読みたいと思うかどうかはまた別で…。

多少、一作一作趣向を変えつつ、このレベルのものが量産できるのかが気になってしまいます。

他のレベルが高すぎるので、すみません、6点で。


B052 あっ!!タグチ先輩 ティース!!!  上木けんすけ  6点
冒頭、「そんだけ近ければ」というのが絵でさっぱりわからない、そもそもどっちのセリフなのかも少しわかりにくい、というところで、「へたくそ認定」になっ てしまいました。でも、その後、読み進めると、それなりには楽しく読めました。空気読まないなんかおかしいやつ、というのはそれなりに楽しめますが、やや 食傷気味な感じもあります。もう一つ、何か新しい感じがあると、イス取りゲームのイスをとりたいだけの新人ではないのだな、とわかり評価が上がると思いま す。こういった勢い重視の作品ほど、完成原稿で読んでみたいものです。6点で。
 

B063 否定ちゃんと肯定くん 枝谷  8点

内容は、最後まで読んでみるとかなり面白かったです。
しかし…あまりに漫画としてへたくそ過ぎる(苦笑)。久々に典型的な「若い人(新人)にありがちなアップばっかりの漫画」を読んだ気がする…。

人にアドバイスを乞えるレベルじゃない。これは、そこらにある「漫画入門」の基礎の基礎を学んでもらうしかないです。

あと、タイトル名、もうちょっと普通の方がいいのでは?
内容やネタがいいだけに残念。基本的な実力をつければ、いい漫画家さんになれると思います。入門書読んでこつこつ地道に努力して漫画として成立するレベル まで上げて、それでもこのセンスが枯れてなければ、あとはけっこういけるのでは? 6点…といいたいところですが、なんやかんや魅力的なので、無謀にも8 点つけちゃいます。

 
C004 まおふ~大魔王のOFF〜 水野まどか  7点
このネーム大賞で、キャラクターの魅力、特にかわいい主人公の魅力で引き付けて引っ張って読ませるものってそういえばすごく珍しい! 性格設定はもちろん、 いかにもな今風(=ここしばらくの流行)でもなくしかし古臭くも感じさせない好感のもてる絵柄も相まって、楽しく読めました。

「い、いかん二度寝した!」 で完全につかまれた感じです。掛け合いも楽しい。
ただ、すとんと終わってしまって少し拍子抜けな感じでした。絵柄やコマ割りが、長編漫画風なのでそのつもりで読んでしまうんです。ショートギャグですよ、 というシグナルを、絵柄やコマ割りで示しておけば、心の準備ができるので、こういう終わりでもすっと受け入れられる気がします。

あるいは、このままでも、24ページくらいからの構成を見直して、1ページ増でエンディングらしい大ゴマをとったり(たとえば最後のページの「……」のコマの真顔の絵を1ページ位どーんととるとか)するだけでも、違うかもしれません。

ギャグのオチとしては、2話目の方が面白かったです。

ただ漫画としての完成度が1話より落ち、全体的な読み進めている間の面白感もイマイチでした。
モンスターたちの絵柄や爆発の表現など、少し古い少年漫画のスタイルの臭みを感じました。
全体的に、もう少したくさん描いて作家としての個性が定着してくるとよくなるんじゃないかと思います。がんばってほしいです。
 

C025 スキマ×メカクシ うしろだ  7点

けっこうおもしろい話なのですが、全体的に読みにくくて、数ページに一度は、あれ、これどういうこと?と読む流れが止まってしまい、確認したりしてしまいました。

リズム感優先は悪くないのですが、各所各所のコマ割りやセリフ使いなど、「こう書けば(描けば)わかりやすくて、こう書くと(描くと)読者に伝わりに くい」ということが自分でぱっとわかる能力を培う必要があると思います。
例えば冒頭の、過去を見る能力で数時間前の時計が見えてしまうが、それは間違いだった、という流れがぱっとわかりませんでしたし、13ページ目で、AVだとなぜすぐわかったのか?というのもネームの絵ではよくわかりませんでした。
漫画はパン食い競争のようなもので、パンをちゃんと食べて、しかも早くゴールできなくては勝てません。

いろいろなことを同時に成立出来る器用さを磨いて下さい。

 

C050 まごころ切符 momo  7点
けっこう個人的には、絵柄、ストーリーともに好みのジャンルの作品なのですが、コマ割りや演出が今ひとつで、乗り切れない(なかなか話に入っていけない)残念さがありました。

絵柄がちょっと下手系なのも、コマ割りが地味目になっているのも、好みなのかもしれませんが、どちらも底力がないと成立しない難ジャンル なので、頑張って総合力を身に付けて下さい。

それまでの間は、自分の好みに少し目をつぶって、絵をうまく描いたり(時間を描ければある程度できるはず)セオリー通りに大ゴマやアップを配置したり間をしっかりとったり、いわゆる普通のアプローチを試してみたりするのもいいかもしれません。

繰り返しますが、基本的に好みなので頑張ってほしいです。


C057 SFうさぎとかめ 銛夕杞  8点
銃や乗り物の形などの小ネタも、ストーリー自体も生かしていて、面白く読めました。

意図的に抑えた演出なのでしょうが、コマ割りやカメラワークがやや単調で、もうちょっと素直にメリハリが欲しかったです。
完成原稿だったら、背景とかが入ってまた違いますかね。

それが見たい、ということで8点入れておきます。

 

C060 生活カタログ 植木まみすけ  9点
新人ということで、若い感じの尖がった凝った演出も、案外悪くないかも。そう思わせるということは、実力もあるのかも。あざとくて完全に狙っているのがわかる演出なので悔しいけど、やっぱり中山田さんに萌えてしまいました。
個人的には、モード系は苦手なのですが、総合レベルも高いので、これはやはり9点入れるしかないでしょう。…なんやかんやでもしかしてこういう感じ、僕は好きなのだろうか???


D006 トキ 伊原達矢  10点

これはいいですね。ものすごく好きですし、総合力もハイレベルで、内容もしっかりして読みがいもある。文句なく10点です。

た だ、最近の漫画が、好み的にはコマ割りが大きすぎる方向に動いているのを残念に思っている方なので詰め込む姿勢は好感が持てますが、さすがにやり過ぎか と。このコマ割りだったら、絵をもっと簡素化した方がいい気がします。一ノ関圭みたいな例もあるので、完成原稿になるともしかしたらいけるのかもしれませ んが…。
25ページまでを前編、以後を後編に分けてもいいですね。
双方をそれぞれ36Pくらいに広げてもいいのでは? いかがでしょう。

 
D020 山内くん チカシ  8点
全体的な雰囲気も、セリフのやり取りなどの細部も、とても好きな作品です。ただやはり少し技量的に未成熟な感じで、ところどころ、読んでぱっとわからないところがあるのでひっかかってしまいました。
例えば、回想への導入、回想から戻るところなどは、コマ割り的にしっかりそういう演出にした方がいいです。服装や話の運びだけでは、演出が足りないと思い ます。冒頭から、誰が主人公かわからない演出だし、そのコマ自体も構成が悪いので、3ページ3コマ目のモノローグが、坂木さんのだということがわかりませ んでした。男の子のモノローグにも思え、でも女言葉だし…なんだろうこれ?と混乱しました。
セリフの位置と、人物の位置がわかりにくいところが多くあります。おそらく、気付きつつも、何かを優先してそこを無視したのでしょうが、逃げずに両立する第3案を探す粘りが必要です。

とにかく坂木さんのアップがもっとたくさん見たいです。構成を直して、完成原稿で見たいです。頑張ってプロになって下さい。

 
D056 桐谷さんちょっそれ食うんすか!? ぽんとごたんだ  7点
導入の説明がうまくないので損してします。
1ページ目からのナレーションが、「先生」のものだとぱっとわからないです。全然「先生」のまともなアップやバストショットが出てこないのは、何か美学的な演出なのかもしれませんが、それを優先すべきではないと思います。
「いとこ姪」という設定も、一般的に知られていない名称なのでこれを使う冒険をするのであれば他のところで人一倍わかりやすい演出をしなくてはまずい。

その親族をナレーションで「桐谷さん」と呼ぶというのも、読者を混乱させる原因に一つになっています。気の利いた小ネタをてんこ盛りにしてみたい気持ちはわかりますが、それをやってのけるにはそうとうの実力が必要です。
センスはいいので期待したいです。地味な努力や研鑽を重ねてもそのセンスが摩耗・消滅しなければ、本物だと思います。頑張ってほしいです。


D057 静寂の音 眞蔵修平  7点
ラフなネームですが構成も絵もわかりやすいので問題なく入っていけました。が、10ページに来て、急にレベルが落ちました。淡々としたシーンは上手ですが、アクションシーンが急に迫力頼みで稚拙です。この内容を描くならそちらの実力も必要ですね。
物語の内容に対して、作者の人生経験も人格レベルもややついていけてない印象があります。これを一概に否定したくはありません。上手い人が、余裕で描ける 小さな話でちゃちゃっと「なんかいいよね」的な作品を描いてくるよりは、気概があります。でもやはり気概だけだと不愉快ですね。この作品は、捨てずに温め て、別な作品で粘り強く研鑽を積んでください。いつか実力が伴ったらまた描いてみて下さい!

 

D060 さんみいったい リコシェ号  7点
なんかとても面白くなりそうな気もするのですが、ドタバタしていてなかなか話に入っていけませんでした。中学生的な思考や感性はとても大切なのですが、それらは維持しつつ、制御してあやつる能力も漫画家には必要です。
なぜか後半の方は、それが少しできてきている気もします。
このタイプの内容、絵柄、演出の漫画の場合、ネーム大賞よりも完成原稿で勝負する普通の賞に出す方が、実力が付くかもしれません。

魅力もあるし、ある程度の技術もあるので、担当くらいはすぐにつく気もします。その担当さんに厳しく指導されてみてはいかがでしょうか。

 
D062 超いいアイディアの発想方法 てらおか現象  8点 
面白かったです。こういうネタって仕込が本当に大変ですよね。そういう部分をなまけず地道に精力を費やして準備する心がけも、とてもいいと思います。
しかしこういう種類の漫画は本当に手間の割に報いが少なく、「傑作」を作るのは大変ですね。これでもまだ、一つ一つの発明ネタが、時々少し弱く感じたりしました。でも十分合格レベルには達していると思います(こういう言いかた…読者はぜいたくですね)。
見せ方(コマ割りや、コマの中の構図など)についても、さらに工夫するといいと思います。例を出すと、「電話」「コップ」のカードが出たシーン、このコマ の形(真四角に近い)で、5枚のカードを並べて、注目すべきカードが右端に寄ってしまうと、集中線や強調線で目立つようにしてあっても、それでも二つの カード両方に目が行かず、「コップ」の方を見落として読み進めてしまいました。ですので次のページに入って「コップ」の使用例が出てきたとき、「?」と なってしまったんです。
ですので、このコマは、例えば横長の大ゴマをとったりするとか(もちろんそのために、前後のコマ割りを調整する必要もあります。あとからの調整は難しいの で、最初から一発でそこに横長の大ゴマが来るような構成が頭に浮かぶように訓練する必要があります)、さらにセリフで「電話とコップか!」などダメ押しで 入れる、などするといいかもしれません。

あるいは、5枚全部見せなくても、定規カードがチラ見えしてタイヤカードがはっきり見えていれば、前のカードの横 に新しいカードを並べたことはわかりますから、思い切って左側をカットして、注目させたい新カード2枚の位置を、コマの中心に近づけてもいいかもしれませ ん。
漫画の場合、最低でも見開き2ページ単位での演出となり、一つ一つのコマにベストな演出が出来るとは限りません。それでもなんとかハイレベルなベターをひとつひとつ導き出さねばなりません。これはもう、一作一作渾身で、しかも数こなして鍛えるしかありませんね。

こういうネタで最低単行本一冊分描けるかどうか、量産力も問われます。頑張ってください! 

 

D065 ムカつく奴ら インカ帝国  8点
ヤング漫画の王道で、シンプルな演出・ストーリーですが、絵(主人公の顔、特に目つきですね)が魅力的で、気持ちよく読むことが出来ました。

ここまで大ゴマを使い、ページをとってぜいたくに語るのであれば、もうひとつ思い切って要所要所に1ページ使うくらいの決め絵を入れて、ドアップの表情と か、空気管をあらわずロングショットなど楽しませてほしかった気もします。ぼくは、「セリフじゃなく絵で表現すべき」という優等生的な漫画論はすきではあ りませんですが、この作品の場合は、素直にこの基本的な漫画論を参考にすべきかと思いました。
あと、敵役の不良たちがひとりひとり印象に残りません。「不良たち」とひとくくりで認識している主人公の心情を表現して意図的に個性を殺しているのかもしれませんが、それならそれで、もう少し違うキャラデザインになるはず。
全体的に「惜しい!」という印象でした。

 

E017 春日井くんの右手 まつも桃世  8点

面白いアイディアの話・演出で、ブラッシュアップすればとてもいい魅力的な短編になると思いました。
コマ割り、構図といった演出があまりうまくないと思います。

導入さえしっかり気を遣って、一度読者の気持ちと、物語設定の共通理解をつかみさえすれば、途中からは(要所要所で気を遣いさえすれば)全体的にはこんな感じでもいけるのかもしれません(いける、のであっていい、とは言いませんが)。
とにかくやはり一番の問題は導入部分…。
主人公は菅野さんですよね。しかもその一人称的な目線で進んでいく話ですから、まず導入ではそれがすぐにわからねばなりません。

人形たちから始まる演出は、悪くないのでこのまま活かしていいと思います。

ただ、そういった特殊な演出で読者の気を引く場合は、それ以外の部分で人一倍わか りやすさを気を付けないといけません。2~3ページの見開き内で、主人公が誰か、そして主人公の目線で進む話だというのがわかるようにすべきです。
これだと、モノローグと主人公のアップが別になっていて、「このモノローグは、菅野さんというヒロインを見つめている誰か(私とあるので女の子か?)のものなのかな」と誤解する人が大勢でてしまうと思います(僕はそう思った)。
例えば、「そういうとき~話すことが出来る」のモノローグを、主人公のドアップ(目と口が入ればいい)にするだけでも違うと思います。
扉絵にも主人公が出ないので、ますますわかりにくい。
あと、続く人形のアップのあとのロングショットが小さいので、これまでの人形たちが、教室の女の子たちが手にしている人形だった、というのがするっと入ってきません。ぼうっと読み始めた人でもああそうだったのか、と一目でわかるように、気を遣って下さい。
全体にロングショット(雰囲気演出のための、ではなく説明のための)が足りない気がします。なので、アップの心情シーンも活きてこない。
この話は特に、コミュニケーションがテーマの話ですから、作者自身が「ヘタクソ」だと、成立しません。多分この方は、多くの漫画家志望者とは逆に、現実の コミュニケーションへの認識はむしろすぐれている人だと思います(でなけりゃこんな話思いつきませんよね)。

ですが、漫画家としてのコミュニケーション能 力の研鑽がまだなので、話に追いつかないのかと思います。

普段人と接している時と同じように、漫画を描くときも鋭敏になって頑張ってください。なんか、逆のことを言う場合の方が多いんだけどな…(汗)。

 

E022 武勇の王と呪い姫 おのた  8点
けっこう面白かったです。

全体的にはこれでいいと思うのですが、冒頭や、あと要所要所に『世界観』を絵で説明するコマが不足しているので、ファンタジーとしてのリアル感に欠け、作品そのものが幼稚に感じられてしまう、という重大な欠点があるように思いました。
まず扉時点から気になって仕方ないのが、なんでこの国はこんな若い、修行中みたいな顔つきをしている少年が王をやっているのだろうということでした。

別に長々とナレーションや説明台詞で説明する必要はありませんが(というかそれはしないほうがいい)、なにかうまい一言などを折りこむなどして、そのあたりの読者の不審をかなり早いうちに解消しておかないと、なかなか主人公たちに感情移入が出来ません。
描きたいのが、熱血バトル漫画であっても、それ以外の能力の研鑽をある程度はやっておかないと、せっかくの熱血バトルシーンの上手さの足を引っ張ってしまいます。頑張ってください!

 

E035 メキシコとアミーゴ! 小林マコ・阿久津圭  8点

紹介漫画として、なかなかネタが粒ぞろいで面白いので、ふつうに(=プロのを読むときのように)楽しく読み進めてしまいました。それゆえに、「メトロ①②」が急に稚拙な感じになって、びっくりしてしまいました。
日本の説明・認識が凡庸というか…。そういうのが積み重なり、読み終わる時には「やっぱり新人の習作」というところまで印象が落ちてしまいました。
商業誌に載れば、実年齢がどんなに若くても、やはり「作家」の作品なのです。
人生経験を頑張って積んで、深みを得るのもよし、その辺に自信がなければ、等身大の外国面白体験ネタに絞って勝負するのもいいと思います。
単行本1冊分描ける量産力もあるかないか、気になるところです。

それがあるという仮定で、ちょっと高めに点数付けておきます。

あ、あと、「エッセイ漫画」という語は、扉にしっかり入れておく方がいいと思います。


 
E051 壁夫 柳田凡  7

冒頭の、扉までの2ページで、異様な世界観に自然に引き込む冒頭はとても見事です!冒頭が下手な作品が今回多かったので、そこはとても目立ちました。

話はとても面白いです。しかし物語のリアリティや主人公への感情移入を保持するための仕掛けや気遣いが足りないので、肝心のところに来るまでに、読むテンションがだいぶ落ちてしまいました。
例えば、女の子が、壁が勃起しているのを見ていきなり「変態」と言うかなぁ?
あと、この主人公、壁男になる前に、すごいベースが弾けるようになって、意中の子以外には認められるようになってきているんですよね。なのに意中の子だけ が自分を見ていなかったということで、あんなに落ち込んでしまう。これは、主人公も、意中の子以外の人間は、書割の背景のようにしか見ていなかったという ことになり、自業自得な感じに思えてしまいます。
こういう、読者の心理に気付いていくのも、漫画家としての能力です。実人生では難しくても、漫画を描くときだけは、人一倍優れた人間(世界)観察力を発揮しなくてはなりません。
ブラッシュアップすれば、この作品でデビューできると思います。頑張ってください!


 
E066 僕にとって君は猫 河内愛里  8点

冒頭のキャラ紹介ページは何?? こんなのは載せてはいけません!
とても面白くなりそうな(プロ作品として楽しめそうな)いい作品の予感はあるのですが、ありがちないい方で申しわけありませんが、新人に佳くある独りよが りな演出が目立ち、ネームとしても情報が不足しているので、そうとう考えてこちら側で脳内補完していかないと、なにがなんだかよくわかりません。
いくつか挙げると、扉後の3コマが回想だというのもぱっとわからないし(ネームの場合、「回想ここで終わり」とか描いちゃっていいですよ)、その下のアッ プが主人公の男の子が目覚めたところだというのはわかりましたが、その下のコマが、「主人公と恋人が寝ていたら、少女がふらっと出てきた」というシーンだ というのが、全然わかりません。
主人公が、最初は「百花」と言うのに、次のコマでは「百ちゃん」と言うのも、混乱します。
18~19の、アンタみたいな賢い男が…のシーンも、誰が来て誰が一緒なのか分からないので、何が起こったかもわかりません。

こういう不備が多いので、せっかくの、とてもいいメインストーリーの足を引っ張ってしまっています。
漫画家は、ピュアな感性と、したたかな認識力を両方持たねばなりません。認識力の研鑽によって、感性が磨滅すれば、そこまでの感性だったということになります。磨滅を恐れず、努力して下さい。

総合力は7点ですが、ネタがいいので、8点

 

E070 メルチルがかほる!!  深爪ゆとり  6点

絵やコマ割りなど、漫画作画力は十二分です。

ただ、それ以前の部分、ネタや設定がよくないので、笑いのシーンで笑えず、泣きのシーンで泣けず、冬相な気持ちで読みました。
まず、なぜこの宇宙人は、物語の最初から、臭い対策をしていないのか? エレベーターで蒸したくらいでだめになる臭い対策をして、安心しているのか、その あたりも不審です。彼は結構前から地球に来ているんですよね。来てからこの話に至るまでの間の彼の人生がリアルに見えないので、ネタありきの思いつき作品 に見えてしまいます。
後編の彼の、女の子に対する反応もひどすぎる。これで笑えと言うのは、もういじめ助長漫画ですよ。体臭問題、といういいテーマになるはずのものが、ことごとく逆になってしまっています。漫画の総合力は8点ですが、内容があまりにひどいので6点です。

 
E073 ムジュンさん 黒谷知也  8
総合力が高く、ネタもそれなりに面白いので、ほぼすんなり作品世界に入れました。

ただ、ところどころゆるく感じるところもあり、だんだんと読むテンションが下がりました。

眼奴様のデザインが、なんかどこかで見たような感じで魅力がないです。

ムジュンさんという名前が、世間に定着する経緯も、もうひとひねり自然さが欲しいです(タイトルありきで、無理にこじつけているように見えてしまう)、とい うか、もしタイトルありきでできたストーリーなのであっても、この名前、捨ててしまって別のもっと作品のテイストにしっくりくる土俗的な感じのネーミング にしてみてもよかった気もします。
あと、なんで60年間矛盾さんが出て来なくなったのか、それがなぜ急にデカくなってでてきたのかも、気になってしまいます。

シュールな話ですが、リアリティを保持するツボは押さえないと、雰囲気ネタにも乗りにくいです。


E076 部屋を貸す 黒谷知也

冒頭から、詩情系のモノローグの出来がもうひとつで、物語や絵の雰囲気とも今一つなじんでいない気がして乗りにくかったですが、それ以外の総合力は結構高く、雰囲気もなかなかいいのでしばらく読み進めることが出来ました。

ネームとはいえ、押し入れの中の妹は、少し身をかがめている感じとかを出さないといけない気がします。雰囲気が売りの漫画なのでそういうところの気遣いは外さない方がいいと思います。
雰囲気ものとはいえ、ところどころ思わせぶりが過ぎる感じもします。

映画だったら単館ロードショウでかかるかもしれませんが、漫画だとどこに載るでしょうね。ところどころ我慢してでもわかりやすくすれば、雰囲気シーンでも楽しませることが出来ると思います。

部屋を貸して旅行に出た後、そのあとの対話シーンへの移行がスムーズでなく、旅行前の回想シーンが始まったのか、戻ってきてからの話が始まったのかがよくわかりませんでした。
ラストの写真も、なんかよくわからない感じでした。
登場人物たちの気持ちの吐露も、時々キラッとして気になるものが混じっていますが、多くはもうひとつ魅力的でないので、読み進めるのがちょっとしんどかったです。
作品が、等身大すぎるのかもしれません。作者は、作品世界の人物たちより一歩進んでいなくてはなりません。この話、寝かせておいて、5年後に書くとまた違うでしょう。
今は、5年前の悩みを描くくらいの感じがいいのかもしれません。

でも、こういった大作を描き上げることは、無駄ではない気がします。5年後化ける作家さんかもしれません。コマ割り等の能力が高いのと、可能性を鑑みて、合格ラインの8点を付けておきます。

 

 

鍋島雅治・テキスト講評

 【総評】

内省的、自分の内面を見つめ直す的な作品が多かったように感じました。いきおい、会話劇や一人称の独白が印象があります。
それはそれで悪いわけではないのですが、もう少し躍動するエピソードとか、ドラマチックな展開とか、突出したキャラとかの作品も、あってもよかったかなと思います。
その点、選には漏れたのですが「ムジュンさん」とか「国境線上の蜂」とか「ダリイズム」とか「異郷奴」とか好きでした。
また内省的一人称的な作品の中でも「ムカつく奴ら」はピリピリするスリルがあってひと味違って良かったです。さすが常連、インカ帝国さん。
LGBTをあつかった作品が「否定ちゃんと肯定くん」「山内くん」の二作品があって、どちらも違うアプローチと結論で、興味深かったです。
あと、皆さん、タイトルはもう少し考えましょう。主人公たちの「名前だけ」とか。もうね。
いや、タイトルに名前が入っているのは正当ですよ。セオリーですよ。
けど「だけ」は、どんな作品かさっぱり分かりませんし、覚えにくいです。
審査する方は、何度も振り返って読んだり考えたり講評書いたりしますから、名前だけだと、あれ?これどんなんだっけ?と、とまどいます。ジジィの忘却力をなめんなよ。
でも編集者や読者にもやっぱり覚えられにくいと思いますよ。
タイトルはベタなくらい分かりやすく覚えられやすい方がいいと思います。「トキ 昭和産婆一代」とか。すいません、これはやりすぎです。
その点、名前系のタイトルでは「桐谷さんちょっそれ食うんすか⁉」は上手です。
読者や編集者は、最初であった作品内容をまるで知りません。
会議でプレゼンしにくい作品タイトル名や、手にとれないようなタイトルはとっっても不利です。
文字本の新書などは「タイトルが全て」と言われているくらいで、ヒット作は内容はともかくタイトルで売れると言われています。紙雑誌ではなくネットだと特に重要になってくると思いますよ「タイトル」

 

 

A-008 国境線上の蜂 16P 渡辺栄祐 6点
くそ真面目な正論を、思い切り馬鹿馬鹿しくそして無慈悲で美しく描いた力作。なぜか感動してしまいました。好きです。ラブ&ピース。

 

A-034 MY SHRED HERO 6点

かっこいい。大作、絵も見せ方も上手い。プロ級。

無為な少年がメンターと出会い、自分の目標を見つける。

というのは「あしたのジョー」や「スターウォーズ」などの成長物の定番ですがやはり気持ちがいいですね。

少年の心の変化もよく描けていますが、ちょっと天才すぎないか?と思います。最初からまず才能ありき。

努力や挫折や特訓なしに、隠れていた才能が発見されて、開花する。というのが最近の傾向だというのは知っていますが、古い人間としては、もう少し、障壁があり、挫折や葛藤があり、それでもなお!でもやるんだよ!という所が見たかったです。

 

A-043 夏のつづき 6点

夏の日の少年の初恋の思い出。最悪の初対面。ああ、せつない。

「泣いている女をほうっておけるか」

いい台詞ですね子供がほんの少し男になった瞬間ですね。

やるじゃない森崎くん。そう、何もできなくても側にいてあげたらいいんです。相手が話しはじめるまえ。本当にやるじゃない。

ちょっと子供にしてはできすぎです。その後の男同士、好き同士の友情も爽やか。

そしてほのかな期待。いいですね、なにか懐かしいときめきと故郷の暖かさを感じます。

良作だと思います。

  

A-044 ヘブンズインターネット 8P まとめろ 5点
いわば閻魔様の浄玻璃の鏡がインターネットのモニターになっていたら。

という発想は面白いけど、オチが弱い気がします。


A-060 異郷奴 66P 鶴川かきお 7点
大好物の時代劇、ステレオタイプの仇討ち物かと思えばまさかの超能力のこれも定番の「イヤボーン」オチ。

時代劇の定番にSFの定番を組み合わせたのは面白い けど、もう少し斬新で驚くようなアイディアが最後に一つあればなぁと感じました。しかし、女郎と主人公の愛情に泣けた。
それぞれのキャラがよく書けていらっしゃると思います。

A-074 津田 11P 戸川賢二 6点
なぜだが優しくせつない感じ。独特の雰囲気。好ましいです。


A-077 ダリイズム  43P  es 7点
面白い。題材も興味深いです。好きなんですダリ。
実在の人物のエピソードを広げる手法は時々あるけど、ダリというのがいい。

価値観やアート、偽物と本物について考えさせられる。
キャラも立っていてクライマックスも爽快だしラストも暖かい。
ネームとはいえもう少し画力があれば。と思います。絵は練習量と見せる場数で必ず上手くなります。ぜひ頑張ってください。

 

B-012 カレー兄弟 12P えりつぃん 6点

弟が可愛い。兄弟のキャラが好き。よくできた漫才を読んでいる感じ。
けっこう笑いました。オチが少し弱いかな。

 

B-052 あっ!!タグチ先輩ティース!!! 12P 上木けんすけ 5点
ナンセンスで面白い。

後輩の方が老け顔なので、当初どちらが先輩かとまどったがうっとうしいキャラでこの方が良かった。ツボにはまる人ははまるかも笑ったのは「肉野菜肉野菜の焼き肉系ですか?」「バランスいいな」だった。


B-063 否定ちゃんと肯定くん 35P 枝谷 8点

いい!実にいい話だなぁ。ちょっと泣いちゃいました。
LGBT という難しいテーマをサラリと日常の中で、でも真っ直ぐに本質に迫った良作ですね。個人的に言えばボクはストレートで、古い人間でありますが大人になって からLGBTの人たちと知り合いお友達になって色んな事を教わってきました。その上でいかに彼らが差別され、生きがたい人生を送っているかも有る程度は知 り、複雑で難しい問題なのかも、ストレートとして彼らにどう接するべきなのかも考えてきました。
この作品ではそれらもちゃんと描き、シンプルに一つの問題の、解決と、同じLGBT同士の理解と、肯定と否定の若いと相互理解、支え合う未来と友情が描かれていて、納得もしましたし爽やかな気持ちになりました。
これはまったくのボクの希望にすぎませんが、本作は本作として、いつかストレートとLGBTのお話も書いて欲しい気がします。
ストレートにも、偏見差別を乗り越えLGBTの方を理解し支え合いたいと思っている人もたくさんいます。
きっといい作品になるでしょう。期待しています。

C-004 まおふ〜大魔王のOFF〜 57P 水野まどか 8点

デュランダル様、可愛い。
ファンになってしまいました。思い切り女子でいじらしいです。
四天王もみんないいキャラしていますが、ヤギの執事との掛け合いがいいですね。

構成もネタも見せ方も、プロっぽいと思います。かなりハイレベル。続きが読みたいです。

 

C-025 スキマ×メカクシ 50P うしろだ 8点
面白い!けっこう立派なミステリーになっています。
ちょっと過去過去視能力の意味が最初飲み込めず「隙間」の定義はなんだろう?と悩みましたけど、後の説明で分かりました。冒頭、数頁はしょって学校から初めてテンポアップしても、いいかも。
人助けしようとするとこも、いい人になりすぎず、でも好感が持ててかっこいいと思います。「少数派」だのところも。主人公、かっこいい!
犯罪者だけど(笑)
すぐに過去視すれば推理しなくても犯人分かったんじゃないかとはちょっと思いますが、面白いのでいいでしょう。稲井さんの謎も最後までヒキができて、ちゃんと落ちています。よく出来ています。

C-050 まごころ切符 49P momo 7点
主人公の「僕」が転校する前の「君」の様子や知り得ない家庭の事を、一人称で書かれているのはちょっとのみこみ辛いところではあります。
なのでご本人も(と思う)と付け足してあるのではないでしょうか。
漫画は一人称が基本の小説や三人称が基本の映像と違い、一人称的表現(主観表現)と三人称的表現(客観視表現)の両方が使える特殊なメディアではありますが、うまくやらないと少しひっかかります。
このちょっとだけの引っかかりが冒頭にあると、物語に入り込むのが遅れるので不利だと思います。特に他に読む作品の多い紙雑誌の中で新しい作品を立ち上げるのには不利でもったいないです。
「お互い母親には苦労するね」はとてもいい台詞なのですが、子供の割にさっしがよ過ぎるというか僕が、君がやや母親からほうっておかれぎみなのを、かんづく材料はほとんど無いように思えます。
最後も、君が、子供のみの乗車ができない。と知ってからお母さんに、僕のために親代わりについていってあげるように頼んだのか?
それはあらかじめ分かって、回想しているのか?よく分かりません。
結局、僕は電車に乗ったのかも、よく分かりません。乗らずに切符コレクターになったという事かな?
現在もその趣味と友情は続いていて、僕は海外切符を集めていて君は海外にいて切符を買っては、僕に送ってくれている。のかもしれませんが収集本、シート?の「海外切符」と、小さく書いてあるだけでは読者に伝わりにくいと思います。
と てもいい雰囲気の作品で、僕の態度、君を庇うところとか、なぜカレーばかりを頼むのかとか、いじらしくて、君の僕への恩返しもすごく可愛くて、全体として はとてもいい作品なのに、ちょっとずつのわかりにくさで損をしていると思います。せっかくの力作なのにもったいないなぁ。と思いました。もう一度、ブラッ シュアップされると、素晴らしい作品になると思います。

 

C-057 SFうさぎとかめ 46P 銛 夕杞 8点
いきなりの冒頭の着眼に、もう面白かったです。そうくるかという感じ。ウサギのくせに乗り物乗るのか。

跳べよ。でも、ちなみにウサギは実はそんなに足が速くないって知ってました?
割と簡単に捕まえられます。
耳永さんと奥さんの不倫物になるんじゃないかとドキドキしました。
すごく楽しく面白かったし、今の世界情勢の暗喩も感じさせます。
アメリカが戦争ばかりしているのは多民族国家で外敵がいないと団結できないからだとか、国民に地理の勉強をさせるためだとか言われているんですってよ奥さん。謎解きからのオチがちょっと弱かったですかね。
もう一人子供できてもよかったかも。でもすごく面白かったです。



C-060 生活カタログ 26P 植木まみすけ 8点
人間のとこの中山田さんのルビを見落として、彼女が中山田さんだと分かるのが5Pでした。

ここは「中山田さん?」くらいのリアクション入れた方が分かりやすいかと。
結局名前「アラブ」にしたんだ。
ちなみに32年前、僕も押しかけられ同棲で、結果、恋愛になりました。
けっこううまくゆくものですよ。猫も飼いましたしね、今の奥さんです。



D-006 トキ 41P 伊原達矢 9点
しっかりとした画力、しっかりとした取材に基づいた、がっしりと骨太なお話。魅力的でかっこいいキャラ。
崇高なテーマに挑んで見事に描きあげたとても立派な作品だと思います。
ぜひペン入れされた物が読みたいです。
あえて難を探せば、せっかく若い産婆さん志望者や、小説家の義理と弟、その他のキャラも配置されているのですが、彼らそれぞれの気持ちや作劇上の役割が薄い気がします。子供を得た喜びとか。若い産婆への薫陶とか。
下の娘二人は出産に立ち会うという初めての経験を経て、ちゃんと変化し、何かを得ているのでちゃんと役割を果たしています。
主人公のトキもまた、物語の冒頭からラストに至っても変化もありませんし、得られる物もなく、ただ自分の人生を振り返り難事を為すことで自分のこれまでの生き方に確信を持っただけの感じしかしません。
もう少し主人公の葛藤があってもよかったかも。
前半で病院出産について、ふっているのですから双子の逆子だったとき、もし病院での出産ならそれが事前に分かったのではないか?とか。
それでもなお、産婆の技術でやるんだよ。でないとできない事もあるんだよ。というような。
そんな主人公の葛藤や変化がなく、全体的に一人称で内省的なので、ドラマが起きているのですが、トキの気持ちしか描かれていない感じがします。おばあちゃんの女一代記を聞いているような気持ちになります。
しかし、それらの難点を越えて、いずれにせよ、屈指の名作。だと思います。


D-020 山内くん 33P チカシ 8点
3P目が回想だとわかりにくいかな。
説明台詞や大げさな台詞に頼らない、何気ないやりとりとエピソードでちゃんとドラマとキャラクターを描いているところにとても感心しました。素晴らしいセンスだと思います。

山内君は先生とは両思いにはなれなかったんだね。
いくら両思いでも、生徒に手を出すような先生だったのが悲しかったのかな。僕も坂木さんと同じように山内君はとても綺麗だと思います。そして坂木さんも綺麗だと思います。
LGBTの方とストレートの繊細で優しい心の交流が描かれていて、読んでとてもすがすがしい気分になりました。ずっと二人が仲良しでいられますように、と願います。


D-056 桐谷さんちょっそれ食うんすか⁉ 15P  ぽんとごたんだ 8点
わはははは!爆笑しました。
なぜ女子高生がカエル食うだけでこんなにおかしいのか。
先生の突っ込みも、ツボに入りました。おかしいな単に好みなだけかな。
でもキャラ最高です。間も言葉のチョイスもいいんでしょうねぇ。絵もグロにならずによかったです。
僕も大概の物は食べられますから大丈夫ですがダメな人は
読めないかもしれないですねぇ。ぜひ、続きを書いて欲しいです。


D-057 静寂の音 48P 眞蔵 修平 8点
フロントグラスは人力ではハンマーでも破れませんよ。尖った物や脱出用の特殊な器具でもないと。

それに粉々にヒビが入って砕けるので穴は開きません。漫画なんだから演出としてアリとも言えるのですが、その作品のリアリティラインを下げる事になるので、意識しましょう。

その腕力で人をあんなに何度も殴ると確実に死にます。
そこに違和感が生じます。後半、すごくリアリティのある展開なのですから、もったいないです。
とはいえ、当初、コメディかとおもいきや、教育とはなんだ。教師はどうすればいいんだ。というとても真剣で真面目なドラマですね。
ただ前半のドライブ感から、後半は上司との固定された場所でも台詞劇になってしまいますので、もう少し場面転換やエピソードで見せて欲しかったところです。
しかし、その論争は確かにどこに着地するのか読めずスリリングでした。
「君が未熟だっただけだ。人を叱るには技術がいるんだ。とても難しいことなんだ」
「被害届を出します。それが社会の仕組みだからです。教育者として」
どちらが正しく、間違っているわけじゃあない。二元論に陥らない結論の立派なラストでした。
感動しました。


D-060 さんみいったい 36P リコシェ号 8点

一種のハーレム物なのでしょうが、ちっとも羨ましくありません。
様々な特殊女子キャラが主人公に同時に迫る。というパターンは「うる星奴ら」を彷彿とさせて懐かしかったです。好きですこういうの。
それぞれのキャラも立っていて、「性か死か」「セックスフレンド」「ほらキタ!」台詞のセンスもよく何度か吹き出しました。読みやすく分かりやすい。
すごくよくできたコメディだと思います。ラストもよかったですね。

D-062 超いいアイディアの発想方法 17P てらおか現象 7点

面白い!いかにも課題提出間近の学生や、漫画家が陥りそうな罠。途中からうすうす気づきましたが、やっぱりそうなりましたか。ラストの誇らしげに発表する三人のいっちゃってる目が素敵です。

 

D-065 ムカつく奴ら 41P インカ帝国 7点

ああ、痛い。胸が痛い。自分の中の暴力衝動を抑えきれなかった頃の自分を思い出して痛いです。

苦しいほどこの気持ち分かります。でも現実や世の中は、ヒーロー物や、不良物みたいに上手くはいかないんですよねぇ。
結局、酷いことになるんです。上には上はいくらでもいますし。
一時はすかっとしてもその後、我に返ると、警察にも相手の仕返しにもおびえて暮らす気が休まらない日々が待ってますし。ケツモチ頼むとお金かかるし。
自分だけならケンカ楽しい!ですんでいても、彼女とか出来るとなんかされないかと超心配ですしね。
でもこれ、割と男の子なら分かり合える心境なんでしょうか?
どうなんでしょう。最近の男の子はおとなしいしケンカの経験はあまりないと聞くし。
でも、僕はとても興味深く読みました。面白いといっては何ですが、面白かったです。人間の一面がよく描けていると思います。

 

E-017 春日井くんの右手 44P まつも桃世 7点
女の子同士の会話の同調圧力ってそんなに強いんだ。
大変だなぁ。ってこの気持ちたまに女子だけの女子会に男性として一人参加するとこんな感じになりますね。

これに付き合わないといけないのは通常男性にはかな りの苦痛です。

女性の中にも「あたりさわりのない」会話と関係の空虚さが我慢できないという人がいてやっぱり学校とかの狭いコミユニティだと孤立しがちですよね。

社会に出て世界を広く持ち自分の好ましい似たもの同士のコミュニティを探し出したり、作ったりできるとだいぶ助かるんですけど、職場とかご近所だ けだとやっぱり厳しいですよね。
女の子同士の何か代役を演じさせての会話、よく(仮面ペルソナ)と言われたりしますが、シナリオにのった人形劇で表したのが良かったですね。それを脱ぎ捨てる26Pがいいなぁ。効果的です。
春日井君の「気をつかってない」という台詞がかっこよかったです。


E-022 武勇の王と呪い姫 67P おのた 
キャラが良いですね。王様だったのにちょっと単純で腕ずくなのが面白いです。
呪い姫も健気で、ツンデレで良い感じ。

最後に互いの特徴を会わせて敵を倒すのもお約束ですが、良かったです。
二人だけで旅立つラストは、かっこいいけどちょっと必然性と(敵はいなくなったわけですし)施政者としての責任感(探索隊を出せばいいし、国内に目的の物がないと限ったわけではないし)に欠けるかな。
敵も実に嫌な奴で良かったですね。とにかくどのキャラも生き生きしていました。



E-035 メキシコとアミーゴ! 11P 作:小林マコ  絵:阿久津圭 

作と画と別れているんですね。四コマでは珍しいかもしれませんが留学経験のある原作者さんがネタ出しをしているのかな。この形式も面白いかもしれませんね。特にルポ漫画形態では。楽しく読めました。
友人にフロリダ在住のメキシコ人がいますが、いろいろ面白い人と国ですよね。信号ごとに強盗にあうので、止まるたびに札を渡して通るとか。それでも知らない事も多くて興味深かったです。
犯罪多くて治安悪いとはいっても、飛び込み自殺のネタとか「人を殺してみたかった」もなんかねぇ。
日本、あらためてひどいかも。ネタの切り取り方が上ですね。例に出したことのようにどれも、ちゃんと情報だけでなく作家の着眼と意見が見えます。
絵も、ネタを簡潔にすっきり読みやすく描いてあってとても良いコンビネーションだと思います。
絵も可愛らしく、メキシコ人がメキシコ人っぽいです。

 

E-051 壁夫 40P 柳田凡 7

芥川龍之介かと思う文学的なシュールな設定からまさかの女子高生による引っぺがし。

自分探しからの自己承認。抽象的だけど、誰の心にもある普遍的な物語のような気もします。
自分が見つけられて良かったですね壁夫クン。
途中、女子高生に無理矢理引っぺがして自分探しをさせられている感じの壁夫が「いいよ期待してない」の台詞はちょっと唐突かな。
壁夫が自分の正体を知りたいのか壁のままでいたいのか、よく分かりません。

本人もよく分かってないのかもしれませんが、その前に「本当は自分が誰か知りたいんじゃないの?」くらいはあったほうがいいかも。

それか女子高生たちの無理矢理を押し通すか。
とても難しいとされる音楽描写もちょっと唐突だけど評論家の人がいて、うまく見せていると思います。

でもやっぱり唐突なのでバンドメンバーか、二人の女子高生のどちらかに評論家役をふってもいいかもしれませんね。
ラストで主人公の壁夫の視点が、先輩に向かってしまうのはしょうがないのですが、女子高生二人を、ラストまで巻き込んで終わって欲しかったです。ここまでしてくれたんだから、もう一つ、二人組からみのオチをつけても良かったかも。

 

E-066 僕にとって君は猫 30P 河内愛里 9

実は僕の弟は十歳ほど歳が離れていて生まれつきの障害のために、一度も立つことも話すこともなく八歳でなくなりました。
僕なりに可愛がったつもりですが、どこまで通じていたか分かりません。
それがきっかけで、障害児のボランティアもしましたし、大学を出てすぐは主に発達障害や自閉症の子供たちを預かる塾をしていました。
経験からなのか、取材されたのか自閉症の様子がよく描けていると感じました。懐かしく思い出されます。
自閉症の子と触れてあうのはとても難しいのですが時にこちらが癒されるような感覚があるのは、よく分かります。
僕の場合は、実の弟でしたし、塾の子たちに恋愛めいた感情を持った事はありませんが、このような環境だったら、主人公のようにそうなっていてもおかしくなかったかもしれませんね。
僕も弟から何かをもらいたかったですもの。
確かに日々、ただそこにいるだけで与えてもらってはいるのですが、恩返しとかそんなのではなく、せめて「お兄ちゃん」と一度くらい呼んで欲しかった気がします。そんな事を思い出しました。
ちょっと個人的な思い入れが強いかもしれませんが、とても良い作品だと思います。
最後に、ちゃんと、主人公にプレゼントが残されていたのが嬉しいですね。
 

E-070 メルチルがかほる!! 24P 深爪ゆとり 7点

よくコンビニの面接受かったなぁ。と思うのですが、デオドラントなお手当てのおかげだったのですね。
なら、ずっとしてればいいのに。と思いますが、色々と環境の問題もあるのですねぇ。

僕も加齢臭著しいお年頃、気をつけようと思いました。女子高生同族オチよく決まってて面白かったです。

 

E-073 ムジュンさん 24P 黒谷知也 7点

寓話的な独特の味わいのあるお話ですね。やっぱ屹立すると、活気を取り戻すものなのですかね。
矛盾さんが、何の暗喩なのか分かりませんが、なんとなく元気の出るお話ではあります。

日本も不景気から本当に早く脱するといいですね。

 

E-076 部屋を貸す 110P 黒谷知也 6点
内省的な哲学的命題を突き詰めるうちに何事にも感動が得られず、無感性になってしまった男女の話でしょうか。
単純な人間で、頭がよくないのでよく分かりません。
でも、そうなってしまったときはとても虚ろで孤独なんだろうなぁと思います。僕も以前、ひどい鬱病だったときがありますが、あれはきつかったです。何食べても何見ても感じませんでした。
虚無感とでもいうんでしょうか、感じないのに辛いんですよね。
時にすべてがどうでもよくなったり。
とてもデリケートな作品ですね。
長いお話で何が起こるってわけではない会話劇ですが、なぜか読み続けさせる力はあります。

主人公の男の子も、女の子も出会うことで、きっと少なからず救われたんだと思いたいです。よく分かりませんが。

 

見ル野栄司・テキスト講評

【総評】

皆さん素晴らしかったです。

漫画誌に掲載どころか これは売れるんじゃないか?!という作品もありました。

ただ、編集者と一緒にネームを切って編集会議で通らなかった的なものは漫画家審査員からは刺激が無いものに見えてしまうのでぜひ最初のころのネームに戻してほしいです。

そのほうが楽しんで描いた感があるので。

逆に編集者と作り上げたものはこちらの漫画編集者審査員には好評になるのは確かです。

しかしその状態で雑誌に掲載なんてあったとしてもとりあえず読み切りで様子見て…みたいな扱いになるのですが、今はそんなのんきに時間をつぶしている時間はないのです。

どんどんぺん入れして無料コミックサイトなどにチャレンジするべきかと思われます。

 

 

山本英夫・テキスト講評

評価詳細:5段階評価(⇒1、⇒0.5)
A-008    国境線上の蜂    渡辺栄祐  ●●●●
シュールでおもしろかったです。

A-034    MY SHRED HERO    MUSASHI  ●●●
月9のドラマみたいでした。

A-043    夏のつづき    一〇四六  ●●●
田舎のほろ苦い青春っていいですね。

A-044    ヘブンズインターネット    まとめろ  ●●
しゃれた漫才漫画ですね。

A-060    異郷奴    鶴川かきお  ●●●
鬼の本領発揮してからスカッとしますね。

A-074    津田    戸川賢二  ●●
地味な子がセックスしているシーンって妙にエロいですね。

A-077    ダリイズム    es  ●○
挿絵付きのエッセイみたいでした。

B-012    カレー兄弟    えりつぃん  ●○
カレーが食べたくなりました。

B-052    あっ!!タグチ先輩 ティース!!!    上木けんすけ  ●○
強烈な先輩ですねぇ。

B-063    否定ちゃんと肯定くん    枝谷  ●●
少女漫画系でしょうか。

C-004    まおふ〜大魔王のOFF〜    水野まどか  ●○
絵がうまいですね。

C-025    スキマ×メカクシ    うしろだ  ●●
設定がいいですね。

C-050    まごころ切符    momo  ●●○
せつなさがいいですね。

C-057    SFうさぎとかめ    銛 夕杞  ●●○
うさぎの葛藤がいいですね。

C-060    生活カタログ    植木まみすけ  ●○
夢がありますね。

D-006    トキ    伊原達矢  ●●○
クライマックスの双子(逆子)を取り出すところがよかったです。

D-020    山内くん    チカシ  ●●
絵的に、どれがどの人だか、よくわかりませんでした。花と青春さは伝わってきました。

D-056    桐谷さんちょっそれ食うんすか⁉    ぽんとごたんだ  ●●○
美人でゲテモノ好きというのがいいですね。

D-057    静寂の音    眞蔵 修平  ●●
教育とは何か・・・ かっこつけた漫画でセリフが入ってこなかったです。

D-060    さんみいったい    リコシェ号  ●●
ファンタジーコントみたいで、かわいらしいですね。

D-062    超いいアイディアの発想方法    てらおか現象  ●●○
アイデアを楽しんでいていいですね。

D-065    ムカつく奴ら    インカ帝国  ●●●●
おもしろい。スイスイ入ってくる。まるで自分を見ているようでした。

E-017    春日井くんの右手    まつも桃世  ●●○
フキダシがうるさくて、せっかくの可愛い絵がもったいないです。

E-022    武勇の王と呪い姫    おのた  ●●
絵がうまいですね。

E-035    メキシコとアミーゴ!    作:小林マコ 絵:阿久津圭  ●●
唯一の4コマ漫画でしょうか。

E-051    壁夫    柳田凡  ●●●○
まずタイトルがすごいですねぇ。おもしろかったです。

E-066    僕にとって君は猫    河内愛里  ●●○
センチメンタルなお話でした。

E-070    メルチルがかほる!    深爪ゆとり  ●●○
カメムシの臭いってのは、伝わってきそうですね。

E-073    ムジュンさん    黒谷知也  ●●●
読みやすい神話みたいでした。

E-076    部屋を貸す    黒谷知也  ●●
ページが長くて頭に入ってきませんでした。