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第8回ネーム大賞

2次審査員作品講評 その2

稲村光信・テキスト講評

※講評はいただいた作品のみとなっております。何卒ご了承ください。

001:『にんじ田んー子のララバイ』久米こめ 評価:★★▲
自分も「にんじん嫌い」なもので、どうなるんだろうというワクワク感とシンパシーをもって読み始めたわけですが、冒頭のふりとは印象の違う展開の物語でした。言ってしまうと「にんじんの女王」でなくてもよいお話で、「にんじんの女王」はひとつの象徴だとすればそれはそれでよいのですが、柱となっている物語自体は、承認欲求の強い男子のよくある青春の悩みをテーマにしたお話なので、もっとうまく「にんじんの女王」というメタファーをつかってほしかったなとつくづく思ってしまいました。読後感もなんとなく説教臭く感じてしまうのは、いちいちセリフで心情を説明してしまっているからでしょう。主人公も、この手の物語としてはステレオタイプすぎて目新しさも少なく思います。こういう物語は、読み手側にさまざまな受け取り方ができるくらいの余韻というか隙間をつくっておいたほうがよいかと思います。それこそ純文学のように。


002:『たましいのグリル』静脈 評価:★★▲
なかなかの倒錯っぷりです。変態くそやろーの話なのに、不思議な世界観とちょっとしたミステリーのような展開、さらにラストは感動的ですらありました。人物の描き分けが未熟だったり、初登場人物の見せ方がイマイチだったり、漫画としては親切な描き方ではないが、評価に値する作品だと感じました。


003:『山田太郎と未来少女の物語 その1』藤ノ宮 慶 評価:★★▲
ラノベのコミック化のような作品。やや設定厨気味です。どうするどうなる?という展開なので読み進める手は早くなり、先が気になる作品とはなってはいるが、話数を重ねるていくと展開の遅さとマンネリが気になってくる。設定だけで出来ているような作品なので、キャラクター性が薄く見慣れたら飽きがくるのが早そうだなと感じました。とはいえ、第一話目からの引き込み方はうまいとは思うのっで、この手のジャンルが好きな読者からは人気が出たりするのかな?とも思わせる作品でした。


004:『女将の綱取り』原作/木戸塚イジフ 作画/ぷりっころん 評価:★★★★
題材、構成、絵柄どれも平均点以上で、とても安定感があり楽しく読ませていただきました。スポーツを監督や経営者側の「外の視点」で描いていく近年の流行を、高いレベルでこなしていると思います。キャラクターがとるリアクションが、やや古臭い気はしましたが。売れる売れないではなく、漫画としては面白く質の高い作品に仕上がっていると思います。


005:『ダンシング・カレー部』えりつぃん 評価:★★★
「食×ダンス」という、無茶とも思える組み合わせを、強引ながらうまく融合させているのがすごい。問答無用の勢いと読み手を冷静にさせない間でギャグを積み重ねいくので、違和感なくラストまで読み切ることができました。ただ、この作品はネームの状態がいちばん面白くて、絵をきちんと入れてしまうと、勢いが削げて世界観の粗が浮かび上がってきてしまいそうだなと、この先のむずかしさも感じました。


006:『さよなら、僕のカタルシス』八百万峯子 評価:★★▲
タイトル通りの内容のお話。すべてが中途半端に感じた作品。メンヘラ女子のイタさや怖さを描くのか、彼氏の変態性を描くのか、淡々とカタルシスを描くのか、どれもなんてことのないレベルで描かれているので作品としてひっかかる部分がなかった。登場人物たちも、心のうちをペラペラとお話ししてくれるので、余韻やこちら側で考えさられるような間もなく感じました。ラスト3ページくらいも蛇足な感じがしました。情報として、登場人物たちの背景があまりわからないのに、その心情を中心とした物語が展開されても、描かれる言葉は軽く上っ面だけに感じてしまいます。


007:『山の上の学校には何もない』ケロスケ 評価:★★▲
設定があまり活かされていない。内容としてこの展開だったら20ページで全部済むのではないでしょうか。人以外の者たちも通う学校という世界観を提示はしているが、単に性悪でおちゃめな友達と、天然な女子の設定を考えていたら、妖狐と山彦にあてはまったので妖怪ものにしただけという感じ。


008:『ゴールド・ラッシュ!』いなずまたかし 評価:★★★▲
双子の兄妹の距離の近さにはやや違和感を覚えたが、素直にスポーツものの王道として楽しく読めました。主人公を応援したくもなりましたし、これからどうなるんだろうと先の活躍も気になったりしました。ラストは主将コンビに勝ってしまわなくてもいいかな、とは思いましたが。


009:『ペットの気持ちなどわかってたまるか』大路大三朗 評価:★★★
人間がペットになって、自分を飼っているエイリアンたちに反逆していく物語。自分の立場が真逆に反転してしまう風刺的作品といえば、スイフトの『ガリバー旅行記』、沼正三の『家畜人ヤプー』などの作品をすぐに思い浮かべてしまうが、本作はそれら名作のフォロワーというか、単純化しさらにコミック化したような作品。こう言ってしまうとつまらないように感じてしまうかもしれないが、ベースになっている展開、内包されるテーマがしっかりしているのと、構図や絵柄、セリフの整理の仕方などもできているので楽しくは読めます。とはいえ、それだけのテーマを多少ページ数があるとはいえさばき切れるわけもなく薄味で、ラストにかんしては伏線回収でアップアップしている感じを受けました。


010:『畜生マンション306号室!!』植木まみすけ 評価:★★★▲
世界観といってしまえば簡単なんですが、羊野歌ちゃんは素直にかわいく思えますし、羊も牛も一緒にマンションで日常をおくっている姿もとてもよいのではないでしょうか。歌ちゃんが毛深かったり、「リア獣」などのワードでクスリとさせる高いセンスは感じます。ですが、他人に見てもらうための気遣いは少ないように思います。ネタ自体があまり万人向けでなく感じますし、お話としてどんな話なのかの輪郭もつかみ辛い。これだけの世界観があるので、もっと日常系として他者に共感されるネタを描いていけば、そのセンスで独特な作品が完成されるのではないでしょうか。


011:『My friends forever』渡辺栄祐 評価:★★▲
ブスないじめられっこが、体を鍛えて復讐するお話。もっともっとエスカレートさせて狂気を感じさせてもよかったのではないか。問答無用な展開でページをめくる手は止まらないものの、わりと復讐というテーマに素直なので、読者の心にトラウマのように傷痕が残る痛みは感じず作品の印象が薄くなっている。ラストは女友達の関係性の不思議さを表現できているようで、個人的には好きです。


012:『骸骨剣士』キムチ&ナムル 評価:★★▲
DQの非公式スピンオフとでもいうのでしょうか。借り物の世界観なうえに、作者の頭の中の解釈だけでできているので説明不足。一生懸命描いているのは伝わってはくる。ネーム大賞の面白さとして、描いている初期から中期、ラストへと明らかに上手になっているのが見てとれる。とはいえ、作品としては借り物感とステレオタイプの物語と展開、セリフひとつひとつも研ぎ澄まされておらずダサさを感じてしまう。


013:『銀狼タクロフ』ヲヲクラゲ 評価:★★★▲
人間と絶対的な強さを持つ獣との闘い、そこから生まれる人間同士の諍い…個人的に『ジェヴォーダンの獣』や『三毛別の羆事件』などが好きなので、この作品も面白く読ませていただきました。ただ、人対獣の闘いを描くのか、そこから生まれた疑心暗鬼による人対人の諍いを描くのかが中途半端になってしまっているように感じました。ラストの方向性も理解できるのですが、大事なところなのに疲れてしまったのか、やや苦しい展開にしてまで簡単に終わらせてしまっているのももったいなく感じます。登場人物たちがどういう人物なのかも描かれていないので、殺されていく者たちへの感情移入がなく、怖さや悲しさも薄くなってしまっているように感じます。ページ数の問題などもあるとは思うが、ひとりひとりの人物像を描いていくこと、マサンゴによる恐怖をしつこく描くこと、疑心暗鬼に陥った人間の醜さをじっくり描くことを念頭に置いていただければ、よりよくなるのではないでしょうか。


014:『ホッカイダーズ』バズ 評価:★★★▲
真っ直ぐで良い人たちが織り成すハートフルな物語。北海道を愛する旅人たちの日常が垣間見えて、旅心を誘われます。善意が前提で進むお話で展開も素直なものなので、食い足りなさも感じるのですが、落ち着いて読める流れと、著者の得意なジャンルの知識を活かした物語は安定感抜群です。すでにアウトドア雑誌などに連載されているのではないかと思ってしまいました。


015:『LAUNDRY』地蔵 評価:★★★▲
コインランドリーを舞台としたサスペンス。思い込みで、甘めの恋愛作品だと思いながら読み進めてしまったのですが、いい意味で裏切られました。出来の良い掌編だと思います。


016:『シークレットクラッシュ』きのしたりさこ 評価:★★★★
富子さん素敵です。自然体で男前な女子は可愛いですね。そこに目をつけた栁さんもいい男子だと思います。登場人物が魅力的で気になる人物だと、ページをめくるのが楽しみになります。構成やセリフ回しもうまく、この先も読んでみたいと思いました。ラストで合コンが行われるかもしれない気配がありましたが、しばらくは栁さんの視点で、外から富子さんの生態を追っていき、その魅力をたんたんと伝えていくこと、そして距離のつまらない栁さんのジレンマを見せていくほうがよいのではないかと感じましたので、ここで希望しておきます。


017:『ハツコイ』ぽてとはる 評価:★★★★▲
圧倒的なうまさですね。BLというジャンルを超えて、そもそもの漫画を描く力が高いです。ジャンルとして当然のように性描写があるので、そこでの好き嫌いは出てしまうのは間違いないが、そこを抜いてもまったく作品の価値は下がらない。個人的にはノンケなので、濃い男性同士の性描写をあえて鑑賞しようとは思わないが、この作品では男性同士とか女性とのセックスだとかを超えて、その相手との関係性が深く理解できるものとなっている。睦言だからこそ伝わるふたりの関係性は、作家の人生を削って出てくるものなのか、リアルで胸を打つ。細部に魂は宿るというが、ここまで用意すれば背景や小物で、登場人物たちのもっている世界観、生活感、人間性まで表現できるといういい見本だと思う。個人的には、経験・観察・センスの集大成とも思えるセリフ回しと言葉の選び方を一番評価しております。


018:『死記』ヲヲクラゲ 評価:★★▲
鉄拳さんの描くパラパラ漫画的な作品。病気で先立った息子の日記を、父親が追いながら親子関係を振り返る展開は、私も父親なので感動的ではあるのですが、漫画作品としてはあざとさと平凡さを感じてしまいます。


019:『夢虫に』さねすえ 評価:★★▲
マイナー競技を探していたら「投扇興」というお座敷遊びを見つけたので、それだけで描き切ってしまった作品のように感じました。絵柄や構成などそれなりなうまさは感じるのですが、探すために探したネタなうえに、うまくまとめようとステレオタイプの展開でこじんまりまとめてあるので、全体としてあちこちに小さい違和感が多く、どの登場人物にも感情移入ができないから、読後感がよくないうえに釈然ともしない。逆に、無理矢理それっぽくするうまさはあるのですが、それでは読者には何も響かないと思います。


020:『あいらいく』コスダ純葵 評価:★★▲
あいちゃんといくちゃんは、何歳くらいでどんな関係のふたりなのだろうか…そういった情報なしでそこそこ読ませてくれたので、シュールながらもネタはそれなりに面白かったと思う。でも、あいちゃんといくちゃんのキャラというか、人物としての背景が描かれていればもっと話のネタも広がるし、この世界観に入っていけるのではないかと思いました。


021:『赤塚と青井』柳田凡 評価:★★▲
映画好きのふたりの青春物語なんですが、なんとなく一風変わった雰囲気をもった作品に感じました。映画好きの会話というよりヒーロー論的なやりとりの要素が強いので、物語の導入に多少違和感はあったのですが、赤塚と青井というふたりの友情物語は違和感なく素直にいい話だな、と受け取れました。


022:『となりのおねえさんあるある』銛 夕杞 評価:★★▲
となりのお姉さんシチュエーションなので、つまらないわけではないのですが、ある意味鉄板ネタなので、どう料理するかの腕が問われる作品だと思います。そういう面では目新しいことは何もなく、ベタな話が展開していくのでいかがなものかと思うわけです。が、このお姉さんのキャラや雰囲気が魅力的に描かれれば、なんとなくの面白さにハマッていくことがあるのもこの手の作品の「あるある」なので、お姉さんをより魅力的に描くようにしていってもらいたいと思います。


023:『輝けるキミのために』逢坂青日 評価:★★★
THE・恋愛漫画です。読んでいるとちょっと照れてしまいましたが、悪い気はしない素直な作品。物語も技術的にもなんの過不足もないので、安心して読めるのですが、それが大きな弱点かもしれません。ここから、どうオリジナリティを出していくか、どんな感情を描いていこうとするか、一歩踏み込んだ作品づくりを目指してほしいです。


024:『ふたりはオナニスト』あまの 評価:★★▲
なんだコレ?って思いながらも、強烈に記憶にのこる作品。記憶にのこるからこそ、その作品を深読みしてしまう。そして、無意味に文学的な褒め言葉や技術的なうまさを後付で探してしまったりしがちです。この作品も、作者の性癖を素直に描いたらこうなっただけなのかもしれないが、いっぽうで、ヘンタイが純愛を突き通した、実はとてもピュアな恋愛漫画と呼べるのかもしれない。また、互いの恥ずかしい部分をさらけ出したうえで、すべてを受け入れるという究極の愛の形を伝えているのかも…などと、能書きがいくらでも出てくる。そういう意味でもインパクトを出すということは大事なことなのだと教えてくれる作品。ネームとしては、描き分けがあまりうまくないので読みづらかったです。無理目なストーリーの無理なところを、知らん顔してすっ飛ばせるところにはうまさを感じました。


025:『裁判マン』あまの 評価:★★★★
法廷漫画は数多くあれど、ここまで法曹界に踏み込んで、分かりやすくかつ深い読み応えのある作品はなかなか無かったのではないでしょうか。素直に読みいってしまいました。面白かったし感動しちゃいました。強面だけど気弱な主人公のキャラもいいと思います。欲を言えば、もう少し主人公がどういう人間なのか、32歳までの「自分探し」の過程はどんなものだったのかを描いてくれると、より作品に深みと主人公への共感が生まれたのではないかと思います。


026:『Ghost Piano』近藤笑真 評価:★★★
時代に翻弄されながらも、真摯にピアノに向かい続ける主人公の物語。清廉な読後感で、よい読書の時間を過ごした気分にさせてくれる。セリフが悪いわけではないが、吹き出しが読みづらい。漫画は文字も視覚として入ってくるので、吹き出しの大きさ形、テキストの改行位置など、もう少し工夫してみたほうがよいかと思いました。


027:『蜘蛛女 第一話』まさかき 評価:★★★★
ホラーとエロス、シュールと現実問題。団鬼六先生の影響も大。この怪しき世界観を確信犯的に作っていることに驚愕です。言葉の選びかたや構図、細かな物の配置までこの世界観を表現するための装置として無駄なく計算されているように感じます。主人公の男のメガネの在る無しとフォルムは気になってしまいました。別人にみえるくらい変わってしまうので違和感が。ネームなのでいいんですが。。。


028:『Graphic Melancholy』西野杏 評価:★★★
安定した技術と、専門知識を活かした物語は高い水準にあると思いますし、テレビドラマの原作だっけ?といいたくなるような流行り感もあると思います。なのですが、主人公のハル子にまったく共感できなくて、読んでいても作品との距離を感じてしまいました。すべてがテンプレートで作られているような感じがしてしまったのと、登場人物の感情表現が大味で無機質に思え、自分には訴えかけてくるものがありませんでした。


029:『1day』Hama-House 評価:★★★
イラストレーターでもある作家さんの、自身の経験を活かした作品。1ページに「へえ~」と「くすっ」がほどよくミックスされたバランスのよい作品。専門誌に毎回1ページ掲載されていても不思議ではないような。見やすい絵柄で、1ページ6コマ程度のコンパクトさにまとめてあるり、なにも言うことはありません。


030:『私と華と風』深空 評価:★★▲
幼馴染の女子同士の淡い恋心を描いた一作。子どもの頃は「風」が使えた話と、天然娘と
美人の組み合わせは新鮮味がない。そのネタだけで延々50ページ超なうえで進展があまり
ないので、読んでいて長く感じてしまった。絵柄や構成など、とてもベーシックな描き方
で特に問題があるわけではないが、話として展開が遅いのと内容が薄いのでページをめく
る楽しみがあまり感じられなかった。

 

佐藤祐介・テキスト講評

■A-013 「にんじ田んー子のララバイ」
突飛な設定から「いったいどういうこと?」と思わせ、次のページをめくらせる構成やヒキの作り方は素晴らしいと思います。
ただし、中盤から後半にかけての主人公の渾身のモノローグが若干くどく、登場人物が増えたことによるテキスト量の増加もあいまって、情報が少し交通渋滞を起こしているようにも感じました。
初恋、ひと夏の青春…といった具合に主人公の体感期間をもっと短くしたバージョンなど、読んでみたいと感じました。


■A-023 「たましいのグリル」
とても刺激的な世界観であり、その独特な空気感を作中で貫き通せていることは素晴らしいと感じました。
ただ内容的には詳細なプレー内容の描写はあまり重要ではないと感じました。
その分、ブタと設定れてたものの矜恃であったり、それを受けた少年の心境などをもっと丁寧に見たかったように思います。


■A-038 山田太郎と未来少女の物語 その1
まったく喋らないヒロインと、それにひたむきに相対する主人公のやりとりは読んでいて楽しく、心地よいと感じました。
書くことによる伝達による「すれ違い」など、設定的にさらに面白くなる可能性も多分にあると思います。ツカミはOKだと思います。今作の真価が問われるのは次話以降です。


■A-040 女将の綱取り
相撲部屋という特異な世界を現時点でわかりやすく描いていると感じます。
ヒロインの相撲に対する熱意も、ほどよかったです。
ただ理論で相撲を見せていく作品であると思うので、具体的な数字や相撲部屋監修といったヒロインが語りに根拠がもっとほしいと感じます。
また相撲の強さのノウハウも大事ですが、部屋経営などの側面も描かれるのかと思いましたのでそこは物足りなかったです。
スポーツモノといっていまえばそれまでですがヒロインはけっきょく女性としての幸せ?を相撲のために捨てたのか、それともこれから主人とのやりとりがあるのか…気になります。


■A-050 ダンシング・カレー部
読者を選ぶ作品であることは間違いないです。
この終始ハイテンションなストーリーにハマれるかハマれないかは本当に読者次第だと思います。
古き良き少年漫画誌のギャグ漫画という雰囲気はありました。
ちょっと冗長に思えましたので、ページ数を減らしたほうがテンポよく読めるのかと感じます。


■A-063さよなら、僕のカタルシス
独特な男女関係が淡々と進んでいく様は、とても心地よく感じます。
ただ主人公の「死んでほしい」「死んでほしくなかった」という言葉で書くと強烈な心情を、読者にある程度ゆだねるということも大切だとは思いますがもっと丁寧にわかりやすく描いてほしかった気がします。


■B-022 山の上の学校には何もない
清涼感あふれる読後感のよい作品だと感じました。登場人物、作品にほどよいピュア感があって好感が持てました。「本物ヒロイン」「ニセヒロイン」を当てるくだりに関してはイタズラの動機・やった理由が弱く思えました。ここでの解決は、主人公の愛があったかから…とあざといぐらいに
描写してもよかったかも知れません。


■B-050 ゴールド・ラッシュ!
手堅くスポーツ漫画を描いているなと感じます。まるでお手本のようなそつのなさです。
ただ構成や登場人物の設定が「いいアンバイ」すぎるせいかうまさのわりに印象には残らないのが勿体ないと思いました。
主人公の設定・性格など、何かで作品に変異をもたらせればもっと魅力的な作品になるのではないかと存じます。


■B-073 ペットの気持ちなどわかってたまるか
「猿の惑星」「マクロス」「家畜人ヤプー」などが好きな方には親和性が高い作品と思います。最後ハッピーエンドにもっていたところも好感が持てました。
まとめ方もうまいと思いますが、上記の作品以上の驚きがあるかというと迷うところです。
この作品ならでは「武器」が絶対にほしいと感じました。


■B-078 畜生マンション306号室!!
ジワジワと来る何かがあります。各話でいろいろなテイストが楽しめるのもお得な感じがしていいです。


■C-022 My friends forever
短くシンプルな構成ながらも、強烈なオチが心にとても残ります。
これはギャグなのか、哲学的なものなのか…余韻が不思議です。
いい意味、悪い意味でも好んで読む方を選ぶ作品だと思いました。


■C-026 骸骨剣士
いいバランスで中世ヨーロッパ感とRPGっぽい要素を組み合わせて物語をまとめていると思います。
ただ物語の大筋は「人間」だけで解決してしまっているようにも感じました。
「骸骨」がストーリに寄り添っている分、他のモンスターや「人間とモンスターの価値観の違い」などが絡んでくるかと思いきや、それがなく肩すかしをくらったようにも感じてしまいました。
いっそのことモンスターの存在がなくても…と思いました。


C-051 銀狼タクロフ
事件の犯人の正体や設定などはそれほど特異なものではありませんが、シンプルながら緊張感を漂わせる物語の構成は、大ページながら読みやすかったです。


C-071 ホッカイダーズ
清涼感あふれる、とてもやさしい作品だと感じました。
作品の性質上、傍観者ぎみ?の主人公のキャラクターは印象に残りにくく思います。
何か必死に頑張るエピソードがあれば親近感もわくのかもしれません。


C-080 LAUNDRY
最初のテンションから、中盤の曲がれ、そして最後の怒涛のオチ展開のギャップが面白かったです。
よく練られた短編であるなと感心いたしました。ミステリーの妙を心地よく実感できました。


D-004 シークレットクラッシュ
全体の通して、好感が持てる爽やかな作品でした。
個人的には、主人公とヒロインの距離感が近いエピソードを増量したり、よりインパクトの強いものにしてほしいとの思いが生じました。


D-030 ハツコイ
情緒的な独特のセリフまわしで、作風に合った雰囲気を丁寧に構築させています。
こじれていないシンプルな恋愛エピソードも読んでみたく思いました。
濡れ場がなくとも成り立つ作品ですので、もし男性読者も想定するのであればなくてもよいと感じます。


D-051 死記
死生観や親子の情など、感動的に表現されています。
ページ数は少し多く感じる部分はありますが、読み手の胸に訴えかける要素は網羅されていると思います。


D-054 夢虫に
テーマとしてニッチであろう「種目」を題材にされ、描ききった意志は素晴らしい。
ただス、構成に関してはスポーツモノとしてのセオリーは超えていないかと思います。
読んだ読者が思わず試してみたくなるような「種目」の爽快感や奥深さをさらに表現していただければと存じます。


D-056 あいらいく
特有の「ゆるさ」と「毒」は目を引きました。
万人受けするギャクテイストではないと存じますので、ニッチで奥深さを追求していく作品であってほしいです。


D-064 赤塚と青井
SNSを絡ませながら、青春の友情をうまく描ききっています。
作中の時系列の描き方を整理すれば、もっと見やすくなるような気がいたします。
また、こういうテンションの作品ではあるので、盗撮においてももっとミッション感を出し、もっとハッタリをきかせてもよいのではと思います。


E-015 となりのおねえさんあるある
とにかく作品の成否は、隣に在住というヒロインが握っていると思います。
好感も持ちやすいキャラクターであると思いますが、現状それほどの個性は感じがたい気がします。
また折角の特異な舞台があるので、基本的には「住まい」近辺で完結するお話作りを目指したほうが
よいと思いました。


E-032 輝けるキミのために
爽やかなときめきと、登場人物の成長が楽しめる、恋愛モノの王道をいく作品だと思います。
欲を言いますと、内気なヒロインのコスプレを変わりにする覚悟のくだりでより明快な「心のスイッチ」の描写、決心に対する盛り上げを増すための事前の伏線を強化してほしいと思います。


E-041 ふたりはオナニスト
勢いと情念に満ち満ちております。
特別な間柄となった二人の距離感やヒロインの考え方を推測するのも今作の魅力だと感じましたので、実際のプレー描写よりそのような場面のゆとりがほしかったです。


E-042 裁判マン
よく仕組みを調べられているいるからこそ判例・判決が躊躇なく描かれているのだと思います。
ただ、主人公の動機ゆえに感情移入がしづらいせいか、どうしても普段テレビ越しで裁判を見ているような「遠い印象」を受けます。
読者が主人公が肩を持つほうを応援する、さも現場にいて判決に手に汗握ってしまう…というような
臨場感と緊張感が作品に組み込まれたらいいなと存じました。


E-049 Ghost Piano
戦禍を題材にしながらも、素敵な匂いが漂う作品で好感触でした。
心情描写をはじめとした構成の部分を情感よりもわかりやすさを優先したほうがいいのでは…と思う個所はございますが、
魅せられる素養はあるように感じました。


E-059 蜘蛛女 第一話
わかりやすい構成で、古き良き風情を感じられました。
しかしシンプルであるがゆえに事象を推理する間がない、さびれた町のテイストは効果的なのか、結末を見た上で次の話を読みたいと思わせる部分が弱い等、疑問点もあります。


E-074 Graphic Melancholy
優劣が付けづらいデザインやそのコンペを、コミックとして楽しめるようにうまく表現されています。
最後に勝利を得た広告コンセプトも、さもありなんという感じで素敵です。
ヒロインの頑張りも心地よいのですが、回想の暗い描写は現在進行形のストーリ軸を邪魔しているとも感じます。
まずは職場の人間関係と、幼い頃に見た広告への羨望のみに限定してもよいかもしれません。


E-077 1day
誰が見ても「あるんだろうな~」というネタを選んで、過剰な演出はせずシンプルにまとめられています。
この作品の真価は、ネタの本数をいかに重ねられるかというところだと思います。


E-082 私と華と風
情感や空気感は素敵な感じでうまく演出されているように思います。
登場人物のモノローグをあえて見せないことも演出ですが、今作のヒロインについては(特に後半部)もっと明確に描いてほしかったと感じます。
物語を盛り上げている分、もったいなさが心に残りました。
 

山本英夫・テキスト講評

 
評価詳細:5段階評価(○→1 ●→0.5)
A-013 にんじ田んー子のララバイ 久米こめ ○●
ネームだからしゃあないけど読みずらかったです。

A-023 たましいのグリル 静脈 ○○○●
SMスナイパーに載っていそうなシュールな漫画ですね。ある意味斬新でした。

A-038 山田太郎と未来少女の物語 その1 藤ノ宮 慶 ○○
高橋しんさんの漫画みたいで、爽やかですね。

A-040 女将の綱取り 原作/木戸塚イジフ 作画/ぷりっころん ○○
テレビドラマになりそうな展開で正当派ですね。

A-050 ダンシング・カレー部 えりつぃん ○●
漫才やコントみたいな漫画でした

A-063 さよなら、僕のカタルシス 八百万峯子 ○○○○
う〜ん、、メンヘラ漫画というか、間がいいのと、気持ちが宇宙していていいですね。

B-022 山の上の学校には何もない ケロスケ ○○
かわいいですね。

B-050 ゴールド・ラッシュ! いなずまたかし ○○
正当派スポコン!
B-073 ペットの気持ちなどわかってたまるか 大路大三朗 ○○○○
ペットのメタファーが効いた始まりからエンターテイメントへ。映画『第9地区』を思わせるようなおもしろさでした。
B-078 畜生マンション306号室!! 植木まみすけ ○●
羊キャラがかわいいですね。
C-022 My friends forever 渡辺栄祐 ○○○○
ラスト最高ですね。勢いのある復讐劇。おもしろかった〜。
C-026 骸骨剣士 キムチ&ナムル ○●
骸骨がいいキャラしていますね。
C-051 銀狼タクロフ ヲヲクラゲ ○○○
後半、おもしろかったです。
C-071    ホッカイダーズ    バズ ○●
素敵な友情モノでした。
C-080 LAUNDRY    地蔵 ○○●
少女漫画スリラー。トリックが効いていましたね。
D-004 シークレットクラッシュ    きのしたりさこ ○●
工事現場の女の子、かわいかったです。
D-030 ハツコイ ぽてとはる ○○○
絵がめっちゃクチャうまいですねぇ。
D-051 死記 ヲヲクラゲ ○○●
読みやすい。オチが読まれてしまうかもしれない。
D-054 夢虫に さねすえ ○●
おしとやかな漫画どすえ。
D-056 あいらいく コスダ純葵 ○●
インパクトのある絵がちょろちょろと。
D-064 赤塚と青井 柳田凡 ○●
肩パットマン、よかったです。
E-015 となりのおねえさんあるある 銛 夕杞 ○○
読者の期待する展開をスカすのはビーバップばりですね。
E-032 輝けるキミのために 逢坂青日 ○●
絵がきれいでしたね。
E-041 ふたりはオナニスト あまの ○○○●
絵がうまいですね。
E-042 裁判マン あまの ○●
怖い顔の裁判官ですね。
E-049 Ghost Piano 近藤笑真 ○●
雰囲気のある絵で、おフランスの漫画みたいでした。
E-059    蜘蛛女 第一話    まさかき ○○○●
大昔、森の中で見つけたエロ本内の当たり漫画のようでした。
E-074    Graphic Melancholy    西野杏 ○●
安野モヨコさんを思わせる洒落た漫画ですね。
E-077 1day Hama-House ○●
コラム漫画みたいでいいですね。
E-082    私と華と風    深空 ○●
草原のような漫画でした。