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2018/01/27

「やれたかも委員会」ドラマ化記念キャンペーンのお知らせ&吉田貴司スペシャルインタビュー

電子書籍版「やれたかも委員会」半額&無料キャンペーンが開始となりました。詳細は下記の通り。
 
「やれたかも委員会」ドラマ化記念 半額&無料キャンペーン

【期間】2018/01/27~2018/02/10(一部書店では2月9日まで)

【施策内容】
・分冊版1~3話無料
・コミックス版半額
 
【展開書店】39書店(書店名は記事の末尾に記載)
 
 
 
もしもあ の時、勇気を出していたら…
そんな誰もが心に秘めている忘れられない夜を犠星塾塾長 能島明、ミュージシャン パラディソ、そして財団法人ミックステープ代表 月満子が判定します。
「やれたかもしれない夜は人生の宝です。」
 
未読の方はこの機会に是非お手にお取り下さい。
 
さて、「今、最も話題の電子書籍作品は?」と言われて、「やれたかも委員会」の名前を挙げる方は多いのではないでしょうか?各電子書籍ストア売上ランキングでは常連組、1月27日からAbema TVにて実写ドラマが放映開始、新作が公開されるとネット上は作品の感想で溢れ返り、紙書籍も重版が決定するなど、まさにメジャー級の大ヒットを飛ばしています。
 
ヒットの理由はもちろん作品の面白さ。しかし、面白さもさることながら、この作品にはもう一つ注目すべき意外な一面が隠されています。実はこの作品、作者である吉田貴司さんが自ら著作権を管理し、執筆から販売までを行なっているのです。「やれたかも委員会」は出版社の発行する雑誌に独占的に連載されることなく、作者である吉田貴司さんが各ウェブ媒体に独自に掲載し、そこから得るロイヤリティを収入源として執筆されています。紙書籍についてのみ出版社と契約を締結し書店に流通していますが、電子書籍やドラマ化などはすべて吉田さんが管理、誰からの束縛を受けることなく自由に作品を執筆し、作品のマネージメントは全て自分で行なう。つまり、限りなくインディーズに近いスタイルで制作されている作品なのです。
 
これを実現できている作家は希有です。作品の宣伝や流通、契約交渉、制作費のやりくりなどを考えると、自分で管理することは非常に手間が掛かりますし、何よりも大企業の後ろ盾もなく、作家がたった一人で世の中に立ち向かう事は非常に困難を伴います。
吉田さんがなぜそのような困難な道を選んだのか?内情はどうなっているのか?どのように今の成功に繋げたのか?ご本人にお話を伺いました。
 
 
 
「やれたかも委員会」吉田貴司スペシャルインタビュー
 
 
 
 ◾️電子書籍のロイヤリティが1カ月で100万円を超えました
 
ーさて、ドラマが放送開始され、ますます話題の「やれたかも委員会」ですが、特定の雑誌で連載している訳ではありません。定期的にTwitterで話題になる漫画と言うか、「何だか話題だけ ど作者はどうやって稼いでいるんだろう?」と不思議に思っている読者も多いのではないでしょうか?実際のところ、内情はどのようになっているのですか?
 
吉田貴司(以下 吉田): まず作品を掲載している媒体は4つあります。「cakes」と「note」、「PixivFANBOX」、「マンガ on ウェブ」ですね。「cakes」と「note」、「PixivFANBOX」は各サイトのユーザーが作品を買ってくれた分だけロイヤリティが入る仕組みです。3サイト合わせて毎月10~11万円くらい収入がありますかね。「マンガ on ウェブ」はWeb雑誌です。国内電子書籍ストアでどこでも買えます。こちらは掲載最低保証金という固定掲載料があって、その他に雑誌の売り上げに応じてロイヤリティが支払われる取り決めです。原稿料(=画稿料)という意味では、それが原稿料に当たるのでしょうか。
他には紙の単行本の印税とか、電子書籍のロイヤリティが収入になりますね。先日、電子書籍のロイヤリティが初めて振り込まれたのですが、1カ月で100万円を超えました。来年の税金がどうなってしまうのか不安です。このペースで売れてくれると良いんですが。
 
ー1冊で1カ月100万円越えはスゴイですね。紙書籍印税で言うと1.5万部相当のロイヤリティになるでしょうか。それが毎月入ってくるというのは 夢があります。そもそもどうしてこういうスタイルで執筆しようと思ったんですか?「やれたかも委員会」を描くことになった経緯を伺わせてください。
 
吉田: そうですね、最初から今のようなやり方を目指していた訳ではありません。元々は普通に漫画家としてやっていこうと思っていました。普通に漫画家のアシスタントをして、出版社の募集している新人賞に応募して、「フィンランド・サガ(性)」というギャグ漫画をモーニングツーという雑誌に連載していたのですが、それが2011年に終了しました。単行本が売れなかったようです。それで連載終了後もモーニング編集部に次回作のネーム(絵コンテのような物)を持ち込むのですが、まったく通らないんです。もう…、「もうコイツには連載させない」っていう暗黙の取り決めがあるんじゃないかってくらい(笑)。
仕方がないので、ボツになったネームを原稿にして、他の出版社や雑誌の新人賞に応募しまくりました。その中の短編の一つが「やれたかも委員会」でした。小学館のスペリオールという雑誌の新人賞に引っかかって、奨励賞をもらいました。それが2013年ですね。最初に「やれたかも委員会」を描いたのはけっこう前です。担当編集者が付いて、僕は2話目を描きたかったんですけど、担当は「これは読切ネタだ」と言って続きを描かせてくれませんでした。他のネタでネームを描いて持ち込むのですが、そっちも通りませんでした。
そうこうしている内にまた2年経ってしまいまして、その間もいろんな編集部に原稿を送っては賞を獲るということを繰り返していました。何となく各編集部に担当がいるような状態で、「このままじゃいけないな」と思っていたら「シェアバディ」という作品のアイデアが浮かびました。「これはちょっと今までと違うぞ」という手応えがあったので、ネームを3話分描いて、それまで出会った編集者全員に送ったんですよ。そしたらスピリッツの編集者の目に留まりました。
 
 
 
 
◾️今も「シェアバディ」は最終巻を読んでいません
 
ーすぐに「やれたかも委員会」執筆とはならないんですね。
 
吉田: はい、その頃はまだ商業誌で連載したいという気持ちが残っていました。でもそれが最悪の結果に終わり、トラウマになってしまうのですが…。シェアバディのネームを読んだスピリッツの担当編集者から「面白い! 連載しよう」と言われました。嬉しいじゃないですか。でも「ただし原作。絵は別の漫画家に描かせる」と。自分の作品なのでもちろん自分で絵を描きたいんですが、それまでなかなかネームが通らなかったし、連載したかったので悩んだ末、その条件を飲んでしまいました。作画家は別の人で2015年の9月に連載が始まり、2016年1月に単行本1巻が出て、発売5日後に打ち切りが決まりました。で、春には無職です。一瞬の夢です。
 
ー散々持ち込みを繰り返してようやく決まった連載が自分で描くことすらできなかった。しかも打ち切り。それはトラウマになるかも知れませんね。
 
吉田:6話ぐらいまで載った時に担当編集者は「アンケートの結果が悪いから、ネームを描き直してくれ」と言うんです。僕は急がされると描けなくなるタイプなので、連載前からネームを30話分くらい先行して描いていて、もちろんそれは担当編集者にも見せていて「面白い」という反応でした。ネームを直すのはとても大変です。例えば7話目を修正するとその後の23話分も修正しなければ辻褄が合わなくなります。必要なシーンだからこそ描いていたので、「そこを修正すると後で辻褄が合わなくなる」と説明をするんですが「アンケートが悪い」の一点張りで話が一切通じないんです。「一度は面白いと言ったじゃないか」と反論しても、「いや、面白くない」と。編集者の人には一度自分が面白いと思ったのならそれを最後まで信じて欲しかったですね。
結局、自分が面白いと思っているものを、面白くないとと思うものにはどうしても修正出来ませんでした。すると、編集者と作画家の方が一緒になってお話を変えてしまいました。作画家の方だってそんなことしたくなかったでしょうし、あまり悪くは言いたくないですけど、締め切りがある状況で、もし自分が絵を描いていればゴリ押しして描くこともできたのになぁって。アンケートは更に悪くなり、打ち切りが決まりました。
後半は僕は僕でネーム原作を描いて、それを元に作画家と編集者がネームを変えて漫画を描く。というわけのわからない制作スタイルになりました。今振り返って考えると、完全に創作に対する冒涜ですね。読者をバカにしてる。ネームを変えられてから掲載雑誌も読めなくなりました。ハンドルが効かなくなった車で人を轢き殺しまくる夢をよく見ました。
2巻の後半からはほぼ僕の原作じゃありません。自分から「3巻は僕が原作の作品じゃないから、原案にクレジットを格下げしてくれ」と言いました。原作を変えられた気持ちが少しくらい伝わるかなと思ったら、「じゃあ印税率も下げていいですよね」って返されて、「それは契約書と違うだろ!」とか喧嘩になったりして。完全な泥沼ですね。結局、今も「シェアバディ」は最終巻を読んでいません。
不本意なものを世の中に出してしまった自分も許せないし、なにより読者に申し訳ない事をしました。この体験がトラウマになり、他人の評価は信用しない事にしました。
 
 
 
 
◾️「これだけは譲らない」というものを4つ決めました
 
ー思い描いていた「普通の漫画家」からは大分かけ離れて来ましたね。それで「やれたかも委員会」を本格的に描き始めたと。
 
吉田:いえ、持ち込みも散々したし連載もダメだったし、打つ手が無くなりまして、Twitterに漫画をアップし始めました。モーニングでボツになった20Pの漫画とか、2P漫画とか1P漫画、4コマ漫画、ボツネームはたっぷりありました。当時、月イチでニコ生をやってたんですよ。その番組の中で 「バズる!」と宣言して、漫画をアップし続けました。内心は「意味あんのかな?」という気持ちもありましたが、他にできる事がなかったので。
で、半年くらい経った頃ですかね。毎日アップしていると、その内に5000RTとか1万RTいくものが出てきました。そこから過去の作品にも焦点が当たるようになり、オモコロとかいろんなサイトや、ヨッピーさんとかネットで有名な方々が取り上げてくれるようになり、2016年9月に「やれたかも委員会」に光が当たったんです。
 
ーおぉ、ついに。でも、簡単に「半年でバズった」と言いますが、何の保障もないのになかなかできる事じゃないですよ。スゴイなぁ。
 
吉田: その頃は自分で言うのもなんですが、「頑張ってたなぁ」って思います(笑)。当時1話目が20万ビューくらいいきました。すぐに書籍化の依頼が殺到しました。多分、4~5社から依頼がありましたが、シェアバディの失敗が大きくあったので、編集者に対しても慎重に対応することにしました。そこで「これだけは譲らない」というものを4つ決めました。具体的には「タイトルは自分で決める」「打ち合わせはしない」「自分で作画する」「電子書籍は自分で管理する」ということです。「タイトルは自分で決める」は当たり前の事のように聞こえるかも知れませんが、出版社が絡むと「タイトル=商品名」になるので、変えられることはよくあります。(シェアバディは自分で決めることができましたが)
打ち合わせもそうですね。作品に口出ししてくる編集者は多いし、「お金出してるから」という態度で高圧的に接してくる人も思っているより多い。書籍化しませんかと言われて会いに行くと、「打ち合わせして一緒に作りたい」と言われるんですが、全部断りました。「このやれたかものアイデアはいろんなパターンが考えられるんですよ」とあれこれ企画立案されたりもしましたが、笑顔で話だけ聞いて帰りました。「やれたかもエピソードの選考とかに参加するのはありですか?」と言われたこともありましたが、それすら断りました。生意気ですけど「書籍化したいと言ったのはそっちだから、本だけ出してくれ」というスタンスです。
「自分で作画する」も当たり前の事として受け入れて欲しいし、出版社は僕の企画に後から乗 っかって来た人たちですから、電子書籍の権利を渡すのもおかしい。
 
ー正論ですが、茨の道を行きましたね。そのスタンスを出版社に伝えたとして、すんなりと話は進むとは思えません。相手は「(より売れる可能性が高まるように)お膳立てしてあげる」と言ってるのに、それを拒否するわけじゃないですか。「コイツ、何をしたくてオレたちに会おうと思ったんだ?」となりませんでしたか?
 
吉田: 「吉田さんとそういう話(権利関係の話)をしたくなかった。」ってため息をつかれましたね(笑)。「何があってそんな感じになっちゃったんですか?」と笑われたり。「やれたかも委員会」は僕が漫画を描いてきて初めて「上手くいっている」と実感できた作品でしたので、完結までその制作体制を変えたくなかった。要求というより恐怖心に近いです。もう作品をめちゃくちゃにされたくないという。
 
ー追い詰められていたんですね。普通に考えると、出版を持ちかけてきた出版社はnoteで公開していたものは非公開にさせて、自分たちの雑誌やメディアで独占的に連載し、単行本を売りたかったはずです。そういう話にはなりませんでしたか?少なくとも、これまでネットで話題になった漫画はそのパターンでした。それとはまったく異なる勝ちパターンを提示できたところが本当にスゴイと思うところなんですけど。
 
吉田: 「すでに発表しているサイトを非公開にしない」ということも当然主張しました。せっかくネットで読んでる人がいるのに非公開にする意味がわからない。バズっても大切にしないといけないのは仕事をくれる出版社ではなく、読者です。
Twitterを見てると「連載が始まりました!」とか「本が出ます!」っていうつぶやきを目にして、ファンの方は「おめでとー」とかっていうやりとりを目にするんですが、半年で打ち切られた僕からすると「そんなめでたくないぞ」と思うようになりました。読者に届けるのがゴールであって、連載や本を出すのはその手段の一つでしかありません。意地悪な言い方ですけど、みんなTwitterで「連載が始まりました!」って言いたいだけで、連載したがっているんじゃないかな。出版社に認められて連載が始まって…、一瞬気持ちいいんですよね。でも、急に1ヶ月くらい呟かなくなったと思ったら打ち切りが決まっていて、物語は途中で終わって、せっかくついてきていた読者を裏切る。
その後打ち切り漫画家は値踏みされます。次は一人でやらせてもらえない。原作を付けるか、作画家を立てるか、漫画家はその時点で出版社に見切りを付ければいいのに、「言うことを聞けば良いことがあるかも」と、また彼らの設定したルールに乗ってしまう。才能がある作家がつまらない原作を言いなりに描いてるのを見ると「なんでそっちに行ったんだ?」と思います。「むちゃくちゃ才能あるのに!」って。
「連載始まりました!」「本が出ました!」何もめでたくない。目には見えないけど「読者に届きました!」が一番めでたいんです。そして読者に届けるために、本を出したり、連載するということが全然有効じゃなくなってきてる。
 
 
 
 
◾️ツイートは花粉とかチリみたいなもの
 
ー読者に作品を届けることを目標に設定したら、見えてくる景色は変わるはずだと。確かに出版社の言いなりに漫画を描いて、良い結果に繋がるとは限りません。だけど、出版社に組せずに成功する算段はあったんですか?
 
吉田: まったくありませんでした(笑)。ただ、したくないことを選んでいくとこうなっちゃったという感じですね。消去法です。1回バズったので単行本1冊分を黙々と描いて電子書籍を売れば、お金が入ってくるんじゃないかなと。そんなにたくさん入ってこなくても、次の作品が描けるくらいのお金が入ってくればいいと思っていました。
やはり他の漫画家さんが連載にこだわるのは「原稿料が出る」というのも大きい理由ですよね。その気持ちもわかるんですが、今の僕が漫画家志望者ならバイトしながらでも好きなマンガを好きなように描いて、年に1回電子書籍を出して、最初は売れないと思うけど、試行錯誤しながら芸を磨いて、誰かに見つけてもらってバズってから版元と有利な契約を結ぶ。という方法をとるかもしれません。そっちの方がまだ夢がある。
単行本を出してくれた双葉社は原稿料こそ出ませんが、これまで通り「note」「cakes」「マンガ on ウェブ」で作品を公開する事を認めてくれて、電子書籍化も自由、映像化などの二次利用も全て作者管理を認めてくれました。紙の本を出すことをゴールにしていたらこうはならなかったと思います。
 
ーこれまでお話を伺ってきて、吉田さんのベースには出版社への根深い不信感があるように見受けられました。同時にネットやSNSを積極的に利用しつつも、それを完全に素晴らしいものとは信じてはいない雰囲気も漂っていると言うか。作品の成功にはネットの存在が不可欠だった気がします。ネット有名人が取り上げてくれたからこそ「やれたかも委員会」は成功したとも言える気がするのですが、その点はどのように感じていますか?
 
吉田: ネットで拡散してもらえたのは素直にありがたかったです。でも、基本的に人間不信はずっと変わらないですね。なんらかのカウンセリングが必要かもしれません(笑)。当然ですけど出版社は悪い人たちで、ネットは良い人たちと考えているわけではありません。広告代理店やネット界隈の人達は、常に「次に話題に出来るもの」を探していてコロコロ変わっちゃいますよね。なので「そこで消費されないようにしないとな」とは考えています。
また、IT系の人たちは場所や空間(漫画サイトやアプリ)を作ることはできますが、コンテンツ自体を作ることはできません。お店やお皿を作れるだけ。料理人ではない。有名人が監修してても閲覧数がないサイトや、閲覧数があっても「マネタイズの方法は未定」みたいなサイトが山ほどあります。漫画アプリやサイトが増えて漫画を描く場所は爆発的に増えましたが、作家側は気をつけて連載する場所を精査する力が必要です。
「連載」という言葉だけを信じてしまうと、客寄せパンダにされちゃう。しかも客がいない場所で踊らされる。せめて客がいるところで「パンダで〜す」って出て行かないと。
 
ー確かにネット界隈の人はワーッと群がってきて、食い尽くして去っていくみたいなイメージはありますよね。次々と新しいサービスが立ち上がっては消えて行くのが常ですし、刹那的な人たちというイメージはあります。
 
吉田: あるアプリで「配信しませんか?」という連絡をいただいて、担当者にお会いしたんですが、「今です」「今しかありません」「今配信したら絶対いいです。」って「今」ってやたら言うんですよ。なので、「そりゃ『やれたかも委員会』も単なるブームかもしれないですけど、そんなに露骨に言わなくてもいいじゃないですか?」って言ったんです。すると「すみません、そういうつもりで言ったわけじゃないんですが、ぜひ配信したくて…」となって、イマイチ話が通じなくて。今、バズらせたい彼らと、ずっとマンガを描いていきたい僕と、大分感覚が違うんだなと思いました。
最近はRT数やフォロワー数が多いからって「本を出しませんか?」と声をかけてくる人たちにも懐疑的になってきてしまいました。数字って強弱がはっきりしているので、RT数やフォロワー数が価値のあることに見えてしまいがちですが、プロの編集者がそれを信じていいのかと思います。
 
ー編集者もネット界隈の人たちに似てきたということですかね?
 
似てきたんですかね?こないだお会いした編集者さんは「最近、6000人ぐらいのフォロワーがいる良い作家を見つけて、そのフォロワーを3万人にするのが僕の仕事です」って言ってて、「マジかよ」って思いました。3万人フォロワーがいたらその10分の1だか20分の1だかが本を買ってくれるっていうデータが出てるらしいんです。僕はそれも嘘だと思ってるんですが。それを割と得意げに話していたので、「なんだこの人。やっぱり信用できない!信用できないー!!」ってなりましたね(笑)。みんな数字に反応しすぎだと思います。犬じゃないんだから。
「面白い !」と手を叩くだけだけなら簡単ですが、人がお財布を開けてお金を出すまでには何アクションか必要です。「いいね」を押すのはお地蔵さんを撫でるのと同じくらい軽い行為だと思っています。いくら拡散されても結局、電子書籍で何が売れてるかって言うと「ワンピース」とか「進撃の巨人」とか「ダンジョン飯」なわけで。Twitterは関係ないんです。ツイートは花粉とかチリみたいなものだと思います。チリは軽ければ軽い程遠くまで飛びます。そして去年何が飛び交っていたのか誰も覚えていません。
人がお金を払うものにはある程度重みが必要なんじゃないかと思います。RT数やいいね数じゃなくてお金を出してくれた人が「いいものを買ったな、また買いたいな」と思ってくれることが大切だと考えてます。
 
 
 
◾️本が売れないのは人が漫画を読まなくなったわけでも、海賊版マンガサイトのせいでも、インターネットのせいでも、紙出版の終わりでも、電子書籍のせいでもない
 
ー軽さや重みを見極めるのがプロの編集者であるはずなのに、そうではなくなってきていると?
 
そうですね。「本が売れなければ売れないほど、虚構の数字を信用してしまう」という悪い流れです。最近、comicoが原稿料を値切っているというニュース(comicoは事実とは違うと否定していますが)と漫画単行本の売り上げが全盛期の半分だというニュースがありました。
この2つってつながっていると思うんです。2013年頃、comicoとかLINE漫画とかGAMMAとかマンガボックスとかIT企業が潤沢な資金を持って漫画に参入してきました。でも4年経って、あんまり儲かってないんだと思います。なぜかというと彼らは紙の単行本を売ってペイするビジネスモデルだから。だから「進撃の巨人」みたいなのを1個作って、全部取り返したいんだけど上手くいってない。なぜ上手くいってないかというと、単行本が売れないからなんですが、じゃあなんで単行本が売れないかというと、出版点数が増えすぎたからだと思うんです。
IT企業が参入してコミックスが増えて、出版社はそれに対抗するかのように漫画サイトやアプリを作ってさらにコンテンツを増やして、人気連載作品はページ数を薄くして巻数を増やした結果、もう今、本屋のコミックコーナーは混沌としています。読者は選ぶのが面倒だからマンガを買わなくなったんだと思います。
池に外来種の生き物が来て生態系が崩れるのに似ています。水が濁って人が近づかなくなってしまった。何が面白い漫画なのかさっぱりわからない。「この漫画がすごい」「マンガ大賞」「この漫画を読め」みたいなオススメ本も多すぎる。
本が売れないのは人が漫画を読まなくなったわけでも、海賊版マンガサイトのせいでも、インターネットのせいでも、紙出版の終わりでも、電子書籍のせいでもないというのが僕の意見です。
漫画家が編集者の方を向いて漫画を描いて、編集者は編集長の方を向いて企画を通そうとする。IT企業は漫画で一発当てようとする。誰も読者の方を見なくなった当然の結果です。
売り場を健全に戻せばマンガはまた売れ始めると思いますが、池の水を全部抜くわけにもいかないし、難しいでしょうね。池の水が綺麗になるまで、紙の単行本には期待できないなと思っています。気の毒なのは本屋さんです。でもちゃんとセレクトした本屋さんなら生き残っていけると信じています。
 今、僕は幸運なことに読者のことだけを考えて漫画を描けている。これに勝る喜びはないです。
 
(おわり)
 
 
 
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